よるのおわり

日々を愛でる

すてきな朝

昨日とは打って変わって,空はきれいに晴れて明るく,風もなくて暖かい.

朝の通り道には公園が含まれていて,今日はちょっと公園の中の別な道を通ってみる.池を挟んだ対岸の道は以前に通ったことがあって,もしかしたらあのあたりに出るのではないかなと予想しながら歩く.

木が覆いかぶさる暗い階段をおりる.途中で黒い鳥がささーっと逃げていく.階段を出たところは広場になっていて,芝生の一部にきれいに敷き詰めた石畳の上に,赤い小さな実がたくさん散らばっていた.上を見上げると,姿の見えない鳥ががさごそしていて,ここは鳥の食事場にでもなっているようだった.石畳の真ん中には,白くてごわごわした毛の生えた緑の草が植わっていた.

さらに歩いていって,いつもの道に出る.公園を抜け出る近道と,公園の中にまた入っていくすこし遠回りな道との分岐点に来る.遠回りな道のほうに,真っ黄色のきれいな落ち葉が見えるので,いつもそちらのほうを選んでしまう.

今朝は,向かいから来るおじさんが落ち葉のところでかがんで,何か拾い上げる.よく見ると,誰かが捨てていったゴミだった.

温室

息抜きを兼ねて温室に行った.外は寒い.風が吹いて,コートを着てこなかったことを少し悔やむ.そういえば今日は朝も空が暗くて,強い風が吹いていた.

学名やデンマーク語の説明文を読みながら,これはなんだろうか…と想像しながら歩く.そうした手がかりをもとに,これはこの植物ではないか…とWeb検索してみる.当たっているとうれしくなる.ザミアやサゴヤシなど,論文や学術書で目にしたことのある植物の実物をみつける.タコノキや月桃やイチジクなど,なつかしい植物もみつける.

初めて入った別な部屋はちょっと気温が低く,天井では冷え冷えとする扇風機が回っていた.向うまで並ぶ植物のラベルには「Afrika」と書いてあり,もしかしたらアフリカの高原地帯に生息する植物が集められているのかもしれない.針葉樹のような灌木のような,不思議な木が並ぶ.

温室の一番奥にあるまた別な部屋は,メインの部屋と同じくらい暖かく,真ん中に池があって川のように水が流れている.水中には見たことのない魚がおり,虫の声がたまに聞こえ,通路には小さなカエルが飛び跳ねていた.茂みのなかには彫刻の胸像が置いてあり,マングローブの枝葉に隠されて正面からは見えなくなっていた.先週はしっかり直立していたショクダイオオコンニャクはすでに根本から倒れ,未熟なセロリの葉っぱのように色が抜けていた.

天気予報を見ると夕方から雨.この強風に雨まで降ってきたらかなわないので,大急ぎで仕事を仕上げて早々に帰宅する.途中の魚屋では,前から気になっていた魚肉ハンバーグを買ってみる.

向かいの建物では,若い夫婦がキッチンで料理を作りながら踊っていた.傍らにはろうそくの暖かい火.なんだかとってもうらやましい.

魚肉ハンバーグは濃い味付けで,4分の1だけ食べた残りは冷凍しておいた.

茄子の場所

窓から見ると雨が降っていないようだったので,普通の靴で出かけた.しかし外に出ると,水たまりに落ちても波紋がおこらないくらい細かい雨が降っていた.ちょっとだまされた気分.風が強くて,傘を真横にさす.

お昼を食べながらぼんやり外を見ると,細い雨が集まって,電線に水滴のかたまりをつくり,重くなっては風に流されて落ちていった.

ベリーのジュースが入った瓶が無造作に置かれている棚がスーパーにあった.黒いやつと赤いやつがごちゃごちゃと入って,なかなかきれい.気づくと,その棚にひとつだけ,ツヤツヤとした茄子がぽってりと置いてある.違和感はまったくなかった.

早めに帰ってきて,スタジアムのところまで走った.久しぶりの汗と細かい雨で,しっとり濡れた.くしゃくしゃした白い犬が,そっちに行きたくない! とイヤイヤ踏ん張っているのを見た.

公聴会

朝起きると良い知らせが来ていた。

 

お昼の後、その場の流れでたまたま、博論公聴会に参加した。45分のプレゼンのあと(CandidateはPreziを使っていた)10分の休憩を挟み、審査委員からの質問と応答が1時間半。その後別室での審議を経て、無事に受理される。満場の拍手。

その後は祝賀会になだれこみ、おいしい白ワイン、ビール、伝統的なオープンサンド、ケーキなど。ちなみにこちらでは乾杯がなく、みんな自然に飲み始めていた。指導教員が会の途中で挨拶。乾杯の前の挨拶よりこちらのほうが、ゆったり聞けて良い。

途中で抜け出して、研究室の同僚と、途中まで一緒に、徒歩で帰宅。博論の内容は、日本のそれに比べて、桁違いだった。予算も成果も。莫大なお金を投下してブルドーザーのように進めていく研究では、もはや敵いようがない。

 

家に帰ると、別室の同居人がビール瓶をのし棒がわりにしてなにかこねている。ほどなくしていい匂いが漂いはじめ、私が寝る頃には、台所においしそうなベイクドケーキができあがっていた。なかなかやるじゃん…

Rが持って来てくれたコーヒーセットで豆を挽いて、寝る前に温かいコーヒーを飲む。そうして1日が終わる。

カラス2種類

こちらには,カラス (のような鳥) が2種類いる.どちらも日本のカラスとは違って,白い模様がお腹から肩にかけて割烹着のようについているのだけれど,一方は大きめで,その模様が灰色っぽく,全体にくすんだ感じ.老人みたい.もう一方は小さめで,模様は真っ白で,はつらつとしている.

両方が一緒に,道端に落ちた食べ物をつついていたりするのだけれど,やっぱり体が大きいから,灰色の大きい方が強いのか,1羽の灰色カラスが食べ物を独占して,そのまわりを小さめな白色カラスが何羽かで取り巻いていたりする.

しかしどちらもあまり人間には慣れていないようで,私がそういう場面に通りかかったりすると,人間は怖いけれど食べ物は惜しい…といったふぜいでちょちょっと飛び退いて,しおらしくしている.日本のカラスのような図太さはないみたい.

近づくと逃げるので,まだ写真は撮れていない.