よるのおわり

日々を愛でる

行ったり来たり

だいぶ前になってしまったけれど.

お昼前に職場から帰ってきて,ゆったりしているとあっという間に家をでなければならない時間.スーツケースをごろごろと引っ張りながら,空港へ.KLMを使って,まるまる1日くらい.

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あちらの空港には夕方に着き,ほかの人びとと合流し,現地の人たちの用意してくれた車に乗り込んで,宿に向かう.到着はたしか19時過ぎ.宿からすぐの美味しそうな羊鍋のお店で晩ごはん.そのあと,久々に会ったRと夜市をぶらぶら歩き,宿に戻って就寝.こちらとは夜の街の雰囲気が正反対に違うのがおもしろい.

翌日は1日セミナー.英語がけっこうすらすら出てくるのがうれしい.あちらの若い研究者たちとも話が盛り上がる.夜は中華料理で,これまた実においしい.食後,現地の人の案内で,街を歩いて,夜市の外れのイートインへ.餃子,フライドチキン,ビール,タピオカミルクティー.罰が当たりそうな夜である.

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その翌日もセミナー.お昼を食べたあと,体調の悪いRとともにホテルに戻り,ひとりお仕事.夜になって,回復してきたRとともに街に出て,すこし散歩し,夜市で夕飯を買ってきて,今後のことを相談したりしながら,ホテルでおとなしく食べる.20時過ぎに部屋を出て,ひとり電車で空港に向かった.

そうして朝にまたこちらにつき,スーツケースの破損でひと悶着あったりしながら,クリスマス前の浮足立った生活を再開したのだった.

外が冷たい

寝苦しいような気がして,真夜中に突然目が覚める.部屋の酸素濃度が低くなっているような気がする.夕飯はたくさん食べたはずなのに,なんだかお腹が減っている.

トイレに行ったりしていると,なんだか眠れなくなってしまう.ごそごそと起き出してきて,ろうそくに火をつけて,ベランダに出して冷やしてあったジンジャービールを取ってきて,開けて飲む.しゃりしゃりの一歩手前の,細かい氷が浮かんでいる.

外の空気はきりっと冷たくて心地よく,すこし霞んだような月が浮かんでいる.灯りのついている窓をひとつみつけると,なかではたくさんの人びとがテーブルを囲んで楽しそうに談笑していた.

美術館

すこし離れたところにある学食でお昼を食べたあと,荘厳な建物が立派な美術館に寄ってみた.中には入らずに,ミュージアムショップをひやかす.

本をぱらぱらとめくったりしていると,けたたましいアラームが鳴り響く.職員さんが,火災報知器が鳴っているようなので外に出てほしい,とお客にうながし,私たちも外に出ていく.展示室のほうからもたくさん人が出てくる.

美術館を離れてすこし歩いたあと,振り返ると,入り口の階段になったところに人びとが座り,わいわいとくつろいでいた.ちょうど午後一番の暖かい陽がさしていて,春のはじまりのような気配があった.

橋の白猫

荒野へ渡る橋のところに,ふさふさした毛足の長い,真っ白な猫がいた.橋の左側,芝生になっているところに,目つき悪くこちらを見上げながら.その横で昇り降り運動をしているおばさんの飼い猫かもしれない.猫を外に連れ出すなんて,なんだかおかしいな…と思いながら通りすぎる.

数日後,橋を通ろうと近づくと,同じ猫が同じ場所にいる.今度はおばさんはおらず,周りに飼い主らしき人も見当たらない.野良猫にしては毛並みがきれいすぎるような気がするし,だいたいこの国では野良猫というものをまだ一度も見かけていない.この猫はなんなのだろうか.

もしかしたら,私にだけ見えているとか,そういうことはないだろうか.あるいは,いきなり口を開いて人間の言葉をしゃべりだすとか.…そんなことを思いながらまた通りすぎる.

裏道

巨大なスーパーの裏口から外に出ると,すてきな道を使って家まで帰ることができる.落ち着いた静かな道で,橋を越えて,スタジアムの前を通り過ぎ,凍結した川の流れる住宅街を抜けてくる.だいぶ陽が長くなったとはいえ,この時間になると,もうだいぶ暗い.

車ばかりがびゅんびゅん走っている道を見おろす橋には,冷たい色の灯りがともって,幻想的な感じがする.この橋を歩いているときにふと横を向くと,点々と並ぶ街灯の上に,それぞれ鳥が8羽ずつくらいとまっているのが見える.大きいほうのカラスのような気がする.灯りがついていると熱が発生して,その上にとまると暖かいのかもしれない.このまま夜を越すのかしらん.

もう少し歩いていくと,空き地のようなところに,大きいほうのカラスがたくさん群れていた.(ときどきガーガー鳴くからわかるのだ).あれだけたくさんいるカラスたちは,こういうところで夜をこしていたのだなと思いながら,家路を急ぐ.