朝、森の端っこで、カラスが2羽飛んでいた。一方は小さくて、なんだかおぼつかない飛び方をしていたので、コドモが飛び方の練習をしていたのかもしれない。
日が昇ると、白い光の下で、湿度の低い浜風が吹いていた。こういう気候になると、なんだか秋になってしまったような気がする。
暴風が吹き荒れるなか、人々とともに、だだっ広い校庭のようなところを駆けていた。岩石が飛んできたり、幹の周囲が4-5メートルはあろうかという大木が倒れてきたりした。それらを上手にかわして逃げながら、建物の中に駆け込んだ。
調査地のベッドに眠っていたが、うっかり、ダニよけマットを敷くのを忘れていた! 布団の下をめくってみてもたしかに入っていない。しかし布団はなんだかいつもより小さいような気がした。
風邪を引いて、演劇の講演の催しを辞退して、宿泊先のベッドで寝ている。額に当てた保冷剤が気持ち良い。
ずらっと居並んだ人々とともにデンマークの公園を散策しており、東屋で休憩をとる。話してみたい人がいて、その人の近くに座ることができる。
こんな夢を一晩で見た。ほかにもあったけれど、覚えていない。
たまに、ほんとうにどうでもいいことを書きたくなってくる。
こちらに背を向けて、猫がひなたぼっこしていたところを通りすぎると、その猫はビクッとこちらを振り向いて、そわそわ落ち着かなさそうにしていた。けれど立ち去ってしまうにはその場所が惜しいらしくて、四足で立ちながらも恨めしそうにこっちを見たまま動かない。お腹の毛が禿げていて、ピンク色のしわしわした皮膚が見えている。
私がまた歩きだすと、猫は、あ、もういいですね…といった感じに、またごろんと横になった。
すこし早く職場から帰ってきて、病院に行ったついでに、ここに越してきてからずっと行ってみたかった銭湯に行った。だいぶ陽がのびた夕方の前の空色の時間帯。もう少しすると濃い青に染まるはずの銭湯の天窓がすこし開いていて、その奥に銭湯の煙突が見えていた。
年季の入った建物に、追加料金無しで入れるサウナに、脱衣所のタイル張りの洗面台に、目を楽しませる古い古い広告に、という京都の銭湯の大盤振る舞いと比べると、関東の銭湯はどうしてもみみっちく思えてしまう。
上を見ているといろいろ気づかなかったものが見える。
「焼肉」と書かれた窓が半開きになっている昼間の真っ青な空。電柱の上にあるカラスの巣。太い枝がぼこぼこ飛び出ていて、なんだかカラスらしいなと思う。たそがれどきの空を飛んでいく飛行機。だんだんくすんでいく空に、機体だけが陽の光を浴びて、真っ白に輝いている。乗客たちはどこからどこに向かうのだろう。
下を向いて見ることもある。(未開封の割り箸が落ちているのを見る)。
道端に落ちていて、意外性があっておもしろいものはなんだろう? あんまり奇抜なものはだめで、めったに見かけないけれど、いざ落ちていればさもありなん、というようなものでなければならない。
このあいだは、バゲットの1カットが落ちていたのを見た。朝早い時刻だったので、まだ鳥なんかにも食べられていなかったのであろう。
家の換気扇は音がうるさい。たまに、照明と間違えてつけてしまうと、地獄の底から響いてくるような音がして、ハッとびっくりして、あわてて消す。
庶民的な食堂などでは、カウンターの中にいろいろ、お皿や料理が並んでいて、これをください、と指し示して自分の好きなものを取っていく。野菜もけっこう豊富で、サラダもいろいろ種類があるのがうれしい。
なんでもおいしかったのだけれど、特に気に入ったのは、トヴァローク (カッテージチーズ) を薄いクレープ生地で包んだもの。この国では乳製品がおいしく、いろいろな種類がある。ヨーグルトのほかにもケフィアがあったり、スメタナや、そしてトヴァローク。お皿をすこしあたためて、薄いクレープ生地をナイフで切り開くと、ぎっしり詰まった、ほんのり甘みのついたトヴァロークがあふれでてきて、それをフォークで持ち上げてこぼさないように口に運ぶ。クリーミーな濃厚さがありながら、さわやかで、ぺろりと食べられてしまうのだった。朝に、紅茶と一緒に食べると最高である。
ヴィネグレットサラダも忘れてはいけない。最初に見たときは、ピンク色をしており、これはなんだ…といぶかしんだけれど、食べてみるととてもおいしい。角切りビーツ、ジャガイモ、グリンピース、タマネギ、ピクルスなどがころころと入っていて、すこしの酸味と、なにやらスパイスの香りを感じる。ディルが入っているのは、緑色の特徴的な葉っぱが見えるのでわかるけれど、あともうひとつ、なんだろう…? (ちなみにこの国の料理にはかなりの頻度でディルが使われていた。素朴で濃厚な料理の数々に、よく合う香草だった)
何度かヴィネグレットサラダを食べるうちに、あるときハッと気づく。コリアンダーの種である。なんだかしてやったりという気分になる。