よるのおわり

日々を愛でる

小指

シンクの乾かし棚に乗せたお皿を取ろうとすると、その横のフライ返しがひっくり返り、それに動かされて包丁が落ちてきた。反射的に手を差し出してしまい、刃の面をくるりと回転させた包丁は小指の先をすっぱり切りながら落ちていった。
傷が浅かったのもあるのだけれど、あまりにきれいに切れたためか、最初の数分間はまったく血が出てこなかった。左右からおさえぎみにして、心臓より高い位置に上げ、しばらく安静にしていると、血はにじむ程度で止まった。左の小指でキーをタイプするときだけ、痛い。

月と流れ星

月がきれいと聞いていたのだけど、あまりきちんと見る機会がなかった。秋になるとなぜか眠りが浅くなるので、通勤時刻も早くなる。まだ暗い早朝、自転車を走らせていると、真っ暗な空にまんまるの月が見えた。
その後、歩道橋のところにさしかかると、空にシュッと強い光が動いて、フラッシュして消えた。流れ星! 最近、飛行機の光を流れ星と間違えることが多かったけど、こればかりは本当の流れ星! 前に見たのはたしか、会社をやめて研究員をしていたとき、柏の葉公園のあたりで自転車に乗って信号待ちをしているときで (もう7年も前のことだ!)、これも早朝の暗い時間帯だったな……と思い出しながら、ちょっと鳥肌が立っていた。

円頓寺

名古屋の円頓寺に泊まった。大学院生だった頃には、名古屋のゲストハウスといえば、大須と金山にしかなかったような気がするのだけれど、最近はいろいろなところにできているみたい。

 

名古屋駅からぶらぶらと歩いて20分くらい、路地裏に突如アーケードの商店街が現れる。ゲストハウスは反対の端なので、ひとまずこちら側を歩いてみる。昔ながらの懐かしいようなお店と、若い世代の新しい感覚が入り混じった、不思議な通り。いろんなところに、入ってみたいお店や食べてみたいものがある。お昼を食べすぎておなかがすいていないのが残念。

 

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反対側のゲストハウスに到着し、荷物をおろしてしばしくつろぐ。夕飯の時刻まではまだ間があるので、どこかで仕事をできないかと、カフェを探しつつ散歩にでかける。

 

できたてのコロッケをほおばったり、ハード系のパン屋で明日の朝ごはんを買ったり、細い路地裏に迷い込んで子守地蔵尊にお参りしたりしながら、結局コメダにたどりつき、安納芋のモンブランをほおばりながら、プログラムを完成させるべくコードの続きを書く。

 

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いい時間になってきたので席を立ち、荷物を一度置いたあと、前を通りかかって良さそうだと思ったタイ料理屋へ。味はいまいちだったけれど雰囲気は良かったので良しとして、ゲストハウスに帰り、ウェルカムドリンクの分のワインを飲みつつ、カフェスペースでお仕事をして、早々と就寝。

 

寝床の環境はゲストハウスの中でも最高級によかったのだけれど、あまり深く眠れず、翌朝早くに起きてしまったのだった。

 

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早朝の光

通勤時の自転車がだんだん寒くなってくる。秋には眠りが浅くなって、朝早く目覚めてしまうので、通勤時刻が早くなっていることも関係しているのかもしれない。

今日の空は、雲の真っ暗な多いが、断層のようにずれて、天の川みたいに、青白い部分が現れてきていた。道の脇には、赤色のLEDが直径10センチくらいの円状に配置された灯りが頭の上についったコーンがいくつも並んで、ぴかぴか光っていた。

ピクニック

朝から最高の秋の日和で、前日から、今日はピクニックに行くと決めていた。研究所に行く途中の道から見える丘へ。Google Mapを見て、その丘は公園の一部になっていることも確かめた。

アイスコーヒーを挿れてマグに詰め、クスクスのサラダと、ニョクマムに漬け込んだ豚肉を焼いたのをレタスとパクチーで黒パンに挟んだサンドイッチを持って、歩き出した。朝は風が強かったけど、今はだいぶ弱まって、まるで夏のような暑さ。

さて、こちらのほうかなと思って適当に歩いていたら、まったく見当違いな道に出てしまう。Google Mapを頼りに道をたどりなおし、無事に丘に着いた。

 

丘では、子連れの三世帯家族とその友人みたいな人たちが、木の下の木陰にシートを広げて、くつろいでいた。

私はもう一本のケヤキの下に座り込み、研究所のほうを見下ろしながら、お昼を食べた。吹き渡る風に汗が乾いていって、とっても気持ちがいい。

研究所に至る道はここから見えて、本当にすぐそこにあるように見えるのに、いざ歩いて来ると、けっこう距離がある。夢のなかでよく見るように、ここからぴょーんと大きなジャンプをして、下の道に着地する妄想をする。

 

お昼を食べ終わり、蚊に刺されそうになったためその場所を去り、広い公園の中を歩いて帰ってきた。

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