よるのおわり

日々を愛でる

車の光と人生

ベランダに出てLを寝かしつけていた。向こうのほうに見えるショッピングセンターの立体駐車場のなかでは、この時刻でも時おり車が発進したりしており、テールランプの赤い光やヘッドランプがゆっくり旋回するのが見えたりした。金曜の夜、自分ではない他のたくさんの人の、それぞれの人生に想いを馳せる。

頬を透かして見る世界

ふだん意図的に眠りにつくときには、頭のなかで同時にふたつのことを考えるのだけれど、今回は頬から皮膚を透かして外を見ていた。頬から透けて見える世界は現実とはちょっと違っており、若干、私を喜ばせるような、私におもねるような、そんな光景が、すこし濁った狭い視界のなかに見える。考えてみたら角膜だって皮膚の一部なのだし、頬を透かして外を見るのも、目で見るのも、そう根本的には違わないのかもしれない。

飛行機のなかで夜を明かした翌日、昨夜と同じく頬から外を見ることで眠りにつこうとしたけれど、あまりうまくいかなかった。

福建会館

古都を歩いた日、すこし外れたところに福建会館があった。福建省出身の人びとが集うお寺で、中は涼しく広々として、とても気持ちの良いところだった。おじさんやおばさんが椅子に座ってゆったり話しており、2週間燃えつづけるという渦巻きの線香が煙をくゆらせていた。ごみごみして混雑した街中にあって、ここだけは別な時間のなかにあった。

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空調の悪い部屋

生野菜にあたったのか少しお腹をこわし、寝不足がたまった疲れが出て頭が痛くなったため、一日中ホテルの部屋で寝ていた。冷房の効きが悪くて、南向きの部屋はどんどん暑くなる。午前中に数時間眠り、目を覚ましてヨーグルトと果物を食べ、窓を開けて空気を入れ替え、午後にまた数時間眠った後も、部屋の窓を開けて空気を入れ替えた。外のほうが涼しくて、風が気持ち良い一日だった。

雨と風

夜中、雨が降っていたような気がしていたけれど、それは本当に昨夜のことだったのだろうか、以前の記憶が混濁していないか、はたまた実は夢の中のできごとだったのか、などと考えていたら、Rも「夜雨が降っていたよね」と言いながら起きてきたので、たしかに雨が降っていたのだったとわかった。ちょうど、外の光と風の具合も濁ってきていると思っていた矢先、外でも雨が降りだしていた。
雨風に揺れる緑の葉っぱを眺めながら、私は雨が好きなのだ、と思った。