よるのおわり

日々を愛でる

book

2016年に読んでおもしろかった本

今年は,論文を読んでばかりで,あまり本を読めなかった.来年はもっと読めると良いのだけれど… バルガス・リョサ (木村榮一 訳) 『緑の家』 複雑に絡み合って展開される物語のなかから,少しずつ全体像が見えてくる.まるで密林の茂った木々をかき分けなが…

凝視

以前,こんなことを書いた.同様のことが今読んでいる本に出てきたのだった. Business being over then, the Old Man turned his attention to me. Natives can stare and yet not be rude. I do not know whether this contradiction is in the quality of…

雪の朝

いつものように暗い冬の朝、雪はあいもかわらず降りつづく。*という書き出しの一文で、梅雨のような街並みの見える車窓から、私は一瞬にして、フィンランドの静かな暗い朝に飛んでいた。ああ、読書ってすごいなと思う。* トーベ・ヤンソン『誠実な詐欺師』

2014年に読んでおもしろかった本

「2015年に読んでおもしろかった本」を書いた後に,2014年にはこれができていなかったことを思い出したのだった. というわけで,書き出してみる.そうして納得.数が多すぎて,どうやってまとめよう…と悩んで,そのままにしていたのだった. 武田百合子『富…

2015年に読んでおもしろかった本

昨年読んでおもしろかった本を.もっときちんと解説したかったけど,そう考えていても時間が経つばかりだったので… トルストイ『アンナ・カレーニナ』 名作が名作と言われるには,そう言われるだけの理由がある,と十分に納得させてくれる作品.レーヴィン,…

観覧車

デジャヴともノスタルジーともちょっと違う,ほっとしながら怖い夢を見るような不思議な感覚を呼びおこされるものが私にはあって,そのひとつが,観覧車だ.観覧車に出会うと,はっと,その周りの空間が奇妙なものに,なんだかねじれているようなものに錯覚…

2013年に読んだ本

今年読んで印象深かった本を振り返ってみる.いちばん,と言われるととても困るけれど,あえて挙げるなら,吉田篤弘『小さな男*静かな声』になるのかな.さらさらと流れていくのっぺりした日常にアクセントをつけて,無機質なさみしさと共存していくふたりの…

ひとり

どこかで,基本は「一人」であると考えている.一人で食べて,一人で考えて,一人で眠って,一人で仕事をする.この先,何がどうなるものか分からないけれど,たとえ大地震が来ても,おそらくこの「一人」の牙城は崩れない.牙城は大げさだけど,長年の蓄積…

夏目漱石の美術世界展

ゼミの担当が終わった後,「夏目漱石の美術世界展」を観てきた.雨が降っていたので,歩きで東京藝大まで.漱石が絵画や古美術をどのような視点で見ていたか,ということをテーマに構成された展示のようだったけれど,選定した人のバイアスがどれくらいかか…

閉じ込められている

小さい頃からずっと「閉じ込められている」と思ってきたのを,ふと思い出した.表面上は同調しているようで裏ではみんな出し抜きを狙っていた学校社会とか,「やさしさ」で厚く包まれて逃げ場のなかった家だとか,どうにもならない自分自身とか,そういった…

閉じ込められている

村上龍『限りなく透明に近いブルー』を読んだ. 前読んだのが高校生のときだから,10年ぶりくらい.彼の文章は相変わらず同じメッセージを放っていた. 「お前は閉じ込められている」と.今の私にはよけいに堪える ※. 高校生のときのように従わざるを得ない…

たたかい

退屈とのたたかいは単純である. 焼き殺して灰にしてしまえばいい ※.さみしさとのたたかいは性格を異にする. 横目で見ながら,そっけなくしたり,もてなしたり. ※ リチャード・バック (村上龍 訳)『イリュージョン』 自由に生きるためには 退屈と戦う必要…

蔵書印

蔵書印をつくった. ぽんぽん捺すのが楽しい (最初だけかもしれないけれど). つくってしまった。

大きな帽子と海水浴

夢のなかでは頭より大きな帽子を被っていた. それであるとき,鏡にうつった自分を見た. そのときはじめて,その滑稽な様子に気づいた. 気づいたのは海水浴 ※ に来ているときだった. ※ しばらくぶりに,アルベール・カミュの『異邦人』を読んだせいかもし…

パンの耳

パンの耳は嫌いじゃない. むしろ好きだと言ってもいいくらい.黒田硫黄の『大日本天狗党絵詞』に, パンの耳の袋を破裂させて姿をくらます描写がある.パンの耳をせっせと食べてみたら, そういう技,身についたりしないだろうか.

夏の朝

夏の朝のことをふと思い出した ※.薄ぼんやりした外に,日中の暑さが充ちはじめていて. だいたい5時くらいで,涼しい風が吹いてたらなお良い.夏の朝は,他の時間帯や他の季節とちょっと違う. 物事の境界があいまいになるような気がして. ※ 正岡子規『病…

ほととぎす

いまは,悩む必要はない. 考えはじめると足が止まる. そんななかでの太平というか ※. そういうものを大切にしていきたい新年の,朝. ※ 参考: 夏目漱石 『一夜』

2012年の6冊

2012年に読んだうち「特に良かった本」を6冊挙げてみる. (「良かった本」は50冊くらいあった) 中島らも『永遠も半ばを過ぎて』 彼の作品を読むのはこれがはじめてだったのだけれど,そしてこれまで食わず嫌いをしていたのだけれど,のめりこんだ.人物の描…

文章の贅沢

泉鏡花の『婦系図』と『湯島の境内』を読んで,思った. 彼は,後者を描きたかったがために,前者を書いたのではないか. お蔦の,可愛さというかいじらしさというか,それを表したいがために. たったひとことを表すために,数百ページに及ぶ文章を重ねたの…

含む

含む,ということが,ここしばらく頭の中を占めている. 以下の一節を読んでから. 妊娠がくるとこういう感じになるからね・だけどあんたはここで働く人間なので・あんたはここに含まれているのですからね・すでに何かに含まれてるもんが・何か含んだりする…