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よるのおわり

日々を愛でる

ツツジ

パンに胡椒をふりかけて,曲面から粒が滑り落ちていったり,傘のなめらかな布の表面が,水滴をいくつか保ちつつも,大きいものはこぼし落としたり.ツツジの表面にポツポツとピンク色の花が咲き乱れ,株の下には落ちた花がいくつか.その様子を見て,パンや…

やさしさ

無気力も倦怠も不安も、包み込んで、いつか眠気の向こうへと放り投げてしまう。夜の闇とは、とてもやさしいものだと思う。

サンドイッチ

サンドイッチは楽しい。 前日にパン屋さんで8枚や10枚切りの食パンを買ってきて、翌日は早起きして、サンドイッチ作りにとりかかる。 表面を軽く焼いて、バターを薄く塗り、柚子胡椒を塗った鶏ハムを乗せる。パンの耳なんか気にしない。あれば、レタスやトマ…

カレー、カレー

帰国して,日本のカレーをむしょうに食べたくなった.なぜかは知らないけれど,カレーである.「カレー」という言葉が脳内に現れたとき,私はもうその魅力に抵抗するすべを持たなかった.お昼に,机の中をあさってみた.賞味期限の切れたレトルトのお米と,…

着陸

乗り換え先の空港に飛行機が着陸していくとき,その途中の夜中の街の灯を眺めるのが好きだ.街灯がまばらに照らす道路に,ポツポツと走る自動車はどこに行くのだろうか?誰が乗っているのかな?深夜の家路を急ぐ車かもしれないし,早朝の職場に出向くところ…

水曜日

もし時間があれば、今年はじめての自転車乗りに行きたいななんて考えながら、寝入って、明け方、マラソンをする夢を見た。まあ当然、乗りに行っている余裕もなく、すこし肌寒い見事な春晴れのなか、職場でお仕事を少しずつ進めていく。そのかわり、少し早め…

犬の名前

駅からの帰り道で,追い抜きざまに,真っ黒のモップみたいな犬を連れた夫婦が,話す.「カラスがハトを食べるって!?それは大変なことだなあ…」慌てて振り向いて,もしかしたらその黒い犬は「カラス」という名前なのかもしれない.そうであれば,たしかに大…

夜中の腕

ふと目がさめて、左腕の感覚がない。体の下に敷いてしまい、血が止まってしびれてしまったのだろう。右手で持ち上げて、顔の上に置いてみる。ぐにゃぐにゃとした熱い蛇のよう。夢に紛れて消えていく、夜中。

最初の雨

アスファルトに落ちてきたごく最初のほうの雨が,弱い光に照らされて光る.……まるでガラスが割れて散らばっているみたいに.

夜の川

川面に反射した弱い光に照らされて、並んで立つふたりのシルエットが一瞬見える。すぐに光の方向が変わって、人影は川面の陰に沈む。

カラスが風に

木枯らしに煽られ,向かいの建物の屋上にとまっていたカラスの羽がぶわっと逆立つ.くるっと向きを変えて,とっとっと場所を変えて,見えなくなる.とっても寒そうである.

朝の7時半くらいに,わたぼこりのような小雪が舞っていた. 地面は濡れていないし,雨や雪が降るとも聞いていなかったので,それは最初,本当にほこりのように見えた.どこか近くの部屋で掃除でもしていて,座布団でもはたいているのかもしれない.でもそれ…

恵比寿の達磨

よく晴れた日曜の昼下がり,山種美術館をのぞいたあと,恵比寿の街を歩いていた.道端に停まったタクシーの運転席を倒して,運転手さんが昼寝をしていた.車内には冬の午後の陽が存分に射しこんで,温室のように暖かそう.彼のもみあげとあごひげは立派につ…

昼下がりのニッキ

バックパックを前にまわしたとき、トップのポケットに入れてあった「ニッキポテト」のシナモンの香りが、鼻まで届いた。はじめそれがニッキポテトの匂いであることに気づかず、インドの街角の匂いを思い出して、電車のなかで,ふと周りを見まわしていた。

メトロポリタン

テレビでラジオ体操が (…これもなんだかおかしな言い回しだねえ) 放送された後に「みんなのうた」がはじまったわけね。いつもそうなのかは知らないよ。私が見てたときはそうだったのね。 それにしても「みんなのうた」なんか見たのって十何年ぶりだろう……で…

向き

真夜中、睡眠と覚醒のあいだのまどろんだ感覚のなかに自分を見出して、ふと、自分が反対向きに寝ているような錯覚に襲われる。ベッドのこちら側を頭にして、左側が壁に面していたのが、あちら側を頭にして、右側を壁に接しているような。明かりをつければ真…

朝のはじまり

間接照明が照らす室内から,重たいカーテンを開けて,いつのまにか外が白んでいるのを見る.そういえば雨の音ももう聞こえなくなっている.まだ暗い影に覆われた街と,ねずみ色の雲のあいだに,ちょっと赤みのさした空が光っているのを見ると,ああ大丈夫,…

朝の段ボール箱

今日は,停電までのあいだに作業をしようと,始発の次の次くらいの電車で,大学に向かっていたのね.雨の降るぼんやりした朝で,気温はそんなに低くないんだけど,玄関のドアを開けたら秋の匂いがした.靴は布のぺたんとしたやつで,けっこう濡れちゃったん…

夜のフロントガラスに当たる雨を見ているのが好きだ.車内には雨が入ってこないから,この場所は落ち着いて守られているのだという安心感があって,好きなのかもしれない.夜であれば,信号や家の灯や,いろいろな光が,雨とともに流れ去っていく.フロント…

秋の色

秋の印象というものが,毎年毎年,ゆれ動く.いつからはじまっていつ終わるのか,どんな服を着たらいいのか,風の匂いはどうだったか….ほかの季節は,もっとばっちりとした印象があるのに.昨日は,秋って,こんなにも光が色を持っていたんだっけと驚いて,…

流星群

深夜から明け方にかけてオリオン座流星群で、早起きのあなたには見られるかもしれないよ、というメッセージが届く。早起きするんだから眠りが浅くなってもいいか、と久々にコーヒーを飲んだりなんかして、眠りにつく。プラシーボなのか本当なのかあやしいと…

広い部屋

窓が大きくてだだっ広い部屋に静かに居るのが好きだった。同室の人はほとんど姿を見せず、現れても影のように揺れているだけ。土日や連休には、その部屋だけ時間が止まってしまったかのように、自然光と静かな大気が空間を満たす。コーヒーを淹れると、香り…

武蔵小杉

平日の昼間である.この駅はこんなに大きかったっけ,たしか昔はもっと薄暗い感じで,それもかえって雰囲気があって良かったのだけれど…なんてことを考えながら,武蔵小杉の駅のホームを歩いていた.古びたマンションのベランダにつるされた洗濯物が,さらっ…

108円の悲しみ

百円均一でタッパーをふたつ買ってきた.ひとつを洗っている最中に,ラベルを取ろうとすると,水で湿ったためかうまく剥がれない.ああもう…と思い,金タワシでラベルのところをこすると,紙のラベルがぼろぼろと崩れ,タッパーは引っかき傷だらけになり,接…

ついこのあいだまでは,朝起きると外はもう明るかった.はぁまた1日がはじまる…なんて思いながら,その日を過ごす準備をはじめたものだった.それが,あっちに行ったりこっちに行ったりしているあいだに,住まいにはもう秋がやってきていて,朝起きても外は…

ニンニク

ニンニクの薄皮を剥く秋の夜.剥きながら考え事でもしようかなと思っていたけれど,結局なにも考えることができずに,ひたすらニンニクを剥いていた.あんがい力を入れて房を揉んでも,中身は割れたりしないんだなということがわかった.まだ新しいと弾力が…

外壁

外壁工事のため、窓の外を足場が固め、天幕がそれを囲っている。 真夏、部屋に帰ってきたとき、なんだか素敵な気分がした。 あまりに強い夏の光の反射はここまで直接届くことがなく、淡い光が部屋の中に満ちている。 小さい頃に、テーブルの上から布団をたら…

空いた隣の座席に置いたペットボトルのなかの水が,なにかの光を反映してチャプチャプきらめく.飛行機の窓の外は夜で,たまに遠くで小さな雷明がひらめくと,その周りの雲と海が一瞬だけ姿をあらわす.光があるときだけ,あの雲と海は存在する.

黒いもの

家の前を黒っぽいぬらぬらしたものが通りすぎたような気がして,一度は建物に入ったものの,気になって,また外に出て追いかけてみた.中世西洋の絵に描かれた悪魔のようなものに見えたのだった.路地の先では真っ黒な黒猫が2匹,揉み合ってけんかをしていて…

志明院

山奥の志明院というお寺に行ってきた.鴨川の源流が静かに祀られている場所で,幽玄かつ荘厳,このような場所なら天狗や水神がいてもおかしくないような気がした.ここだけ気温が低くて,ゆったりした力強い時間の流れを感じて,何度か鳥肌が立った. 志明院…

山攻め

こちらに来てからは,山ばかり走っている.東京にいたときは川沿いの平地を走っていた.平地を走っているときは,スピードに追い立てられるようにペダルを回していたけれど,ヒルクライムではむしろスピードを出せないほうが当然なので,自分のペースで走る…

おすそわけガム

近くの人がポテトチップスを食べはじめて,良い香りとバリバリする音が聞こえてくる. 私は味のなくなったガムを噛んでおり,ポテトチップス味のガムを噛んでいるような気分になってくる.そういえばドラえもんの道具にこんなガムがあった.

加速度的に大きくなるあわただしさを必死でおさえつけて,なんとか西に移動してくることができた.3月の最終日,3年前の6月に見たようながらんとした部屋を前にして,なんだか感傷的な気分になってしまった.この部屋,この街,ここで暮らした3年間に出会っ…

夜の公園の発泡酒

その頃の私はやさぐれており,手近な夜の公園にでかけ,発泡酒の缶を片手に,人生の問題をああでもないこうでもないと考えていた.やさぐれたときに夜の公園で発泡酒を飲むというアイデアは,いつもけらけらと暮している友人から教えてもらったことで,そう…

POLO

POLOというお菓子があった.スースーするやつで,たしかドーナツみたいな真ん中に穴の空いた白いタブレットに,大文字でPOLO・POLO・POLOと繰り返し書いてあった気がする.青だか緑だかの紙に巻かれた銀紙に,きれいに並んで包まれていた.このお菓子と分か…

潜水

死にものぐるいでお仕事を片づけて、それでも片づかないものからは身を振りはらうようにして出てきた旅先で、気の抜けたゆっくりした日々に体が慣れていくの、夏のプールで水のなかに潜って周りの音が一瞬で聞こえなくなって、自分の心音が聞こえてきたりす…

腹骨

夢のなかでは、本来背骨であるものがお腹の前からつき出しており、腰骨であるものが脚の付け根から前にせり出していた。こんなところに骨があったっけ、と思いつつ、起きてみると確かにそんなところに骨のあるはずはなかったのだった。

カフェイン

コーヒーやほうじ茶は大好きなのだけれど,最近,週に4日くらいはカフェインを摂取しない日ということにしている.というわけで,ノンカフェインのお茶を買ってきて,飲んでいる.おいしいのだけれど,なにか物足りないような気もする.物足りなさが飽和した…

空気

朝、言問通りの坂をのぼったところで、空気が変わった。自転車に乗ってウインドブレーカーを着ていても、服のなかからはっきりとその生暖かさを感じるような。時間や場所など、何によるものなのか、よくわからない。ひとつ言えることは、この日はそれから後…

昨年

この頃,年末年始感がかつてないほど希薄.飛躍だの成長だの挑戦だの,そういった言葉はどうでも良いのだけれど,昨2014年は,私にとって本当に価値のある1年間だった.自分の手で自分の輪郭をなぞって,その形を理解し受け入れることができた.あらためて前…

やすり

アンプルに入った試薬を使った.試薬の箱を開けると,つるんとしたガラスで封入された瓶がでてきて,どうやって開けるのか,見当がつかなかった.というよりそもそも,哺乳瓶のような形をしたこの瓶がなんという名前なのかもわからなかった.ガラス切りで頭…

時の流れ

久々に会った友人と話をしながら,みんなそれぞれに幸せの形を探し求めて,身体を壊したりなんかしながらも,居場所を形成して,すてきなパートナーをみつけて,それぞれ生きていることを聞いた.うれしい.それと同時に,何十年もすれば,あるいはそうでな…

寝坊

そういえば,いつから眠っていたのか思い出せなくなるくらい長いあいだ眠っていたいと思いながら,眠りについたのだった.朝には強いほうで,たいていは,起きたい時刻を頭のなかに思い浮かべながら眠れば,その時刻の前に起きていることができる.それが,…

寒さとお湯

暖房のない部屋で1日仕事をしていると、体の芯まで冷えがくる。そのことが、夕方銭湯に行くとよくわかる。熱いお湯が周りを取り囲んでいる実感と、これだけ湯船に浸かっても硬い芯が残っているように思える自分の体。十分に温まった後で、湯船に頭まで沈める…

冬の炭水化物

冬になると,ほくほく系の炭水化物がおいしい.余計な調味料がいらなくて,放っておけば手間をかけずにできるところも良い.かぼちゃの煮物は汁をとばして,ちょっと焦げ目がつくくらいまで熱を加える.じゃがいもは,オリーブオイルと塩だけで,驚くほどお…

古着の匂い

高校生の頃,古着屋に足繁く通っていた.ラックにずらっと吊るされたTシャツからは,消臭剤とクレヨンを足したような,ケミカルっぽい独特の匂いがする.どの店に行ってもこの匂いは共通で,これを嗅ぐと「ああ古着屋に来たな」と思う.この匂い,でも,どこ…

夢が濡れる

夜半に強い雨が降って、覚醒レベルの下がった頭にぼんやりとその音が聞こえるとき、なんだか夢が濡れているような気になってくる。起きたときに、あの雨音は、ゆめとうつつのどちらに属していたのかと考えて、いくら頭を絞ってみても、手がかりになりそうな…

季節

夏と冬は,マレーシア語でいうと,"musim panas"と"musim sejuk". 直訳すると「暑い季節」と「寒い季節」.春は,"musim bunga"で,「花の季節」.では秋は…? "musim gugur"で,英語でいう"fall"と同じような感じ.ふむふむ.

秋分

川底に沈んだエビのような気分になりすてきな公園をみつけた

夏が終わった

今年の夏の成果 子供のときから「食わず嫌い」をしていた虫除けの威力を認め仲直り 冷や麦と素麺の違いを知る (冷や麦おいしい…!) トウモロコシを3本 ではまた来年