よるのおわり

日々を愛でる

「永遠」

冬から春に移る時期の雨は,なんだか物憂い.3月や4月の,どことなく落ち着かないさまも反映されているのかもしれない.

そんな物憂い小雨のやんだ合間の夕方,自転車で大学から帰っていた.暖かくも寒くもないふわふわした気温のなかで,霧とまではいかなくとも,こまかい水滴が宙に漂っているような錯覚をおぼえる.

尾竹橋から見下ろす荒川は,雨で増した水をたっぷり抱え,灰色の空を映して静かに流れていた.湿った冷たい空気を裂いて並走するタクシーにお客さんの姿はなく,なんだかぼんやりして見える運転手は,後部座席の窓をすこしだけ開けていた.

それを見たときにふっと,私は,自転車に乗るのが大好きなのだということを感じた.そうして,にやにや笑い出したいような気持ちに襲われた.