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よるのおわり

日々を愛でる

POLO

diary star

POLOというお菓子があった.スースーするやつで,たしかドーナツみたいな真ん中に穴の空いた白いタブレットに,大文字でPOLOPOLOPOLOと繰り返し書いてあった気がする.青だか緑だかの紙に巻かれた銀紙に,きれいに並んで包まれていた.

このお菓子と分かちがたく結びついている記憶が「POLOおじさん」である.その頃,私はたしか小学校の低学年で,家族と一緒に1ヶ月間ほどのインド旅行に来ていた.1ヶ月も滞在していれば,貸家の近くに馴染みのコミュニティが生じる.ましてやインドのおじさんたちは子供に対してやたらと世話をやきたがる (ような気がする).貸家の人だったのか,よく行くレストランの人だったのか,近所の住人だったのか,よく覚えていないけれど,そのおじさんはとにかく私たち3人きょうだいに,会うたびにPOLOを1粒ずつくれた.例のあだなをつけたのは両親だったような気がする.

この文章を書いていたら,そのときの光景を次々に思い出してきた.
脚がない物乞いの人びと,路上のウシ,決まって朝食に行くレストランで好んで食べた熱々のワッフル,よく行った別のレストランでよく飲んだ果物のジュースと埃臭い道路の暑さ (これに関しては細部が曖昧),市松模様のタイルで張られただだっ広い浴室とトイレ,コップに張った水を利用してグリセリンを抜いて飲むビール (もちろん飲んでいたのは両親である),日本では入れないような深いプールと黒を基調にしたシマシマの小さな蛇,寂れた動物園とインスタントカメラとホワイトタイガー,赤い僧服とヴァイキング形式の昼食,オートリクシャのカチカチと増えていくメーターの小気味良い音,…….

3年前のひとり旅で決着をつけたつもりになっていたのだけれど,そのとき私は自分のなかに閉じこもって自分としか対話をしなかった.私はまたインドに行かねばならないのかもしれない.