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よるのおわり

日々を愛でる

夜の公園の発泡酒

その頃の私はやさぐれており,手近な夜の公園にでかけ,発泡酒の缶を片手に,人生の問題をああでもないこうでもないと考えていた.やさぐれたときに夜の公園で発泡酒を飲むというアイデアは,いつもけらけらと暮している友人から教えてもらったことで,そうすれば私もけらけらとして日々を過ごせるのではないかと思っていたのかもしれなかった.

当時は東武野田線の沿線に住んでいて,家から数分自転車に乗れば,その線路に行き当たった.線路というのは奇妙なもので,踏切と踏切のあいだに,行き止まりのようなふわふわとした土地をいくつも作り出す.その土地のひとつに公園があり,このだだっ広くて見通しの良いわりに人気のまったくない公園で,私は幾夜かを物思いにふけったのだった.

この公園は線路に面しており,野田線の電車が通るたび,窓から漏れる光で明るく照らされる.その瞬間には,舞台の上に無理矢理かつぎあげられ,なにも用意していないところでスポットライトを浴びたような,そんな気恥ずかしさを感じる.その一方で,電車の乗客は案外こちらの存在に気づかないようで,私は疲れた人びとを傍観する観客のような立場にもなる.

この公園で,私は見られていたのか,見ていたのか,そんなことをふと思いだした.