よるのおわり

日々を愛でる

夜の音

夜の音は漠としてあやふやである。

 

秋の気配がちらちらと見えかけてきて、夜には虫の声が聞こえるようになった。では、他の季節はどうだろうと考えたところが、思い出せない。真夏にはセミの大合唱が聞こえていたような気がするけれど、それは昼間のことであって、夜には鳴かなかったような気もする。つい最近まで真夏だったのに…

冬となるともっとよくわからない。虫は鳴いていないように思う。でも完全に無音だっただろうか…? 寒そうな風の音が響いていたようにも思う。

 

ひとつたしかに言えることは、それらの音は、夜の終わりと朝の始まりのあいだのある時間、ぴたっと止んでいるような気がするということだ。そして私はその静かな時間が大好きなのだった。