よるのおわり

日々を愛でる

墨汁

夜中,カンカン線路を叩く音が少しだけ開けた窓から漏れ聞こえて,そのせいなのか知らないけれど,眠りが浅かったような気がする.初秋の冷たい空気が,音と一緒に入り込んできていた.

朝,目が覚めたら,論文の査読結果が返ってきていて,ひとまずrejectでないことだけ確認してほっと胸をなでおろす.今のうちに大学に行ってしまおうと思っていると,とたんに雨が降り出してきた.しかしすぐに小降りになって,これなら行けそうだと思い家を出る.

とはいえやはり,そこそこびしょ濡れになり,シャワーを浴びて,息をつく.密度の濃い墨汁のような空気に光がすこし混じってきて,北の山に低い雲がかかっているのが見えるようになる.

気づいたら,外はいつの間にか朝になっていた.