よるのおわり

日々を愛でる

オレンジの日

敷布団が硬くてあまり寝付けなかったけれど,とにかく山小屋で目覚めた.外ではすでに焚き火がたかれていて,お湯も湧いている.ありがたい,ありがたい.川で顔を洗った後,秋の朝日が射し込む木立のなかで,コーヒーを淹れて飲んだ.なによりもこれがいちばん美味しかったように思う.

秋の,雲ひとつない空の下,山を下って帰ってくる.洗濯をして,布団を干した.

午後には,滋賀まで.同じく完璧な秋の空の下,多少汗ばむくらいの陽気のなかを,電車とバスを乗り継いで.とてもおもしろい話をして,同じ経路を帰ってくる.

近くの駅から家まで歩くことにして,少し冷たくなってきた風のなかを戻ってきたのだった.家につくと,オレンジ色の夕日が部屋のなかを染めていた.驚くほどのオレンジだったが,布団を取り込んでいるあいだに,すでに色は褪せていた.

標本にして飾っておきたいような,短くてすばらしい秋の一日.