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よるのおわり

日々を愛でる

春の宵

夕闇が染み渡ったあとの御所と鴨川をぶらぶらしながら帰ってきた。

御所の松は大きくて、複雑な影を空に投げかけていた。雲が一面に覆いをして、でもなんだか明るくてあたたかい空だった。人は通らず、車の音もここまでは聞こえず、右手で押す自転車の車輪が砂利を踏む音だけが響いた。

荒神口から鴨川におりて、そのまましばらく、河原をゆったり流した。西岸には人々の気配を乗せた白熱灯のやわらかい光が続き、どこかの建物では、結婚式のようなドレスやスーツを着た若い男女たちが、テラスではしゃいでいた。

光は水面に映り、堰のところでどーっと水音が聞こえ、コウモリが飛び、ときどき鷺がばしゃっと着水したり、飛び立ったりしていった。等間隔の恋人たちも分布していた。

御所と鴨川、これから住む街にも欲しいものである。

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