よるのおわり

日々を愛でる

豊かさについて

ビザの手続きに行ったり,銀行でお金の扱いについて聞いたり,仕事環境のセットアップをしたり,繁華街を通り抜けてきたりしたら,なんだかけっこう疲れてしまった.あっちで情報を集め,ここの情報と比較して,これはまだこれが完了してないから手がつけられない,などなど.まるでRPGやクエストかなにかのよう.

土日は,必要物品を買いに中心街に出かけようかと思っていたけど,やめた.どうせ物価も高くてほとんどなにも買えないのだ.(たとえば,ケーブルの価格は日本の3倍以上,自分用のコーヒーカップすら高くて買えない!).カメラを持って,人がまばらにしかいない植物園のようなところに行きたい.晴れると良いな.

そんなことを考えながら帰ってきたら,玄関の鍵が開かない.おとといは開いたのに….裏口にまわったり,ちょっと違う方法を試してみたり,ここでもクエストは続く.いろいろあって無事に家のなかに入れる.

そういういろいろを経て,つくづく思うのだけれど,日本ではどうしてあれほどまでに安定して高い品質を維持しつづけるモノたちが,あんなに安い値段で手に入るのだろう.たぶん,本来はもっと高い値段がついているはずなのに,そうなっていない.生産者に正当な対価が行き渡らず,しかし生産者も別な側面では消費者であるのだから,全体が全体の首を締めて,国際社会のなかでどんどん貧しくなっていっている…… (のかもしれない).

時刻はまだ18時過ぎだけれど,キッチンの窓から見える向かいの家々では,やわらかい間接照明に照らされて,大人たちがワインを片手に談笑して,オーブンを使ったりしながら料理を作っている.そういえば街では,平日でも15時を過ぎると,女性も男性も,子供と一緒に過ごしている姿を本当によく見る.日本で見るような,機械人形のようにぞろぞろと歩いていく,疲れきった仕事帰りの労働者とは,なんだかすごく対照的.

あまりにベタだけれど,「豊かさ」について,いろいろと考えてしまう.