よるのおわり

日々を愛でる

寒い雨の夜

実験で遅くなった.夕方からはしっかりした雨が降り出していた.気温も下がって,寒い.

帰り際,川辺の港みたいになっているところを通りかかったときに,水面に白色のぼわぼわしたかたまり (けっこう大きくて,70 cmくらいはありそう) がふたつ浮いているのに気づく.まわりにもうちょっと小さな茶色のかたまりもたくさん浮かんでいて,どうもそれらは水鳥のように見えるから,白いかたまりは白鳥なのではないかと推測して近づいていった.

予想は当たって,真っ暗な夜の水面に,白鳥は首をすくめてじっと水面に浮かんでおり,ほかの水鳥たちはそれよりかは多少元気にぱしゃぱしゃやっていたのだった.こういう寒い雨の夜に,水面に浮かんでいるのはどういう気分なのだろう…? 仲間がけっこういるし,あんがい楽しいものなのかもしれない.

急ぎ足で通り過ぎる住宅街で,白い大きな犬をつれたおばさんを前方に見る.犬は楽しそうに道路にとびだし,おばさんがそれをぐいっと引き止めて,危ないでしょ!車にひかれたらどうするの! といった体で犬をじっと見る.犬はちょっととぼけたふうをして,モップのような毛をぶるぶるっと振るって水滴をとばした.おばさんがまた,とがめるような雰囲気をにじませる.

それともうひとつ,なにかおもしろいものを見たのだけれど,忘れてしまった.

そんな寒い雨の夜.