よるのおわり

日々を愛でる

2017年末

年末年始だけは (あるいはそれとお盆のときも) 東京のことが好きで,妙に人が少なくてのびのびと息を吸える電車や街を,日々を惜しむように楽しんでいたのだった.仕事場にも人がいなくなり,リラックスして仕事ができるから,ふだんの作業とはちょっと違うことを,「年末年始の秘密プロジェクト」と名付けたりして,ひとり静かにやっていたのだった.

今年の年末年始は,もしかしたら独り立ちしてからはじめて,東京から遠く離れて過ごすことになった.日本の12月後半は,クリスマスやお正月の楽しい気配と,年末の仕事納めの忙しさと,忘年会やら何やらの浮ついた気分とがごっちゃになって,てんやわんやのゴミゴミした忙しさがある.けれど,こちらはクリスマス休暇と重なって人びとが大きな休みをとったり自分の国に帰ったりするので,12月の後半はほとんど開店休業状態になる.日本にいないから,この機会に仕事を詰め込もうと思っても限度がある.

そんなわけで,相当ひさしぶりに,なんだかゆったりと落ち着いた年末を過ごしている.Rとふたり,「廃墟」をのぞむ部屋で,原稿を書いたりインターネットをしたり,お茶を飲んでおしゃべりしたり,オーブンで料理を作ってみたり.そのとき楽しいだけで後にはなにも残らない忘年会なんかもないし,クリスマスや年末年始の商業主義的な喧騒からも遠いところにいる.

悪くない,と思う.