よるのおわり

日々を愛でる

冷たい手

海までたどり着かないかなと思って,今日も走ってみたけれど,行けども行けども荒野がつづく.荒野に広がっているのは要するに湿地なのだけれど,先週末や今日みたいに寒い日は地面が凍って,長靴を履いてなくても,ある程度荒野のなかに分け入っていける.

このへんかなとあたりをつけて,柵があいているところから荒野のなかに分け入ってみた.湿っぽい地面のなかで,しっかり凍って草の根ががっちりしていそうなことろを選んで,慎重に足を運んでいく.それで100メートルばかり進んで,さてと前方を見上げても,むこうに海なんてちっとも見えず,ぬかるんだ荒野がずーっと広がっているだけ.そのときの絶望感といったら! なぜだか知らないけれど,どうしても海まで到達することができないのだった.

帰りは向かい風になり,それほど風が強いわけでもないのだけれど,走る速度に風の勢いが加わり,手が冷えていく.走り終わる頃には,まるで凍ったようになって,何かにぶつけたらパリンと割れてしまうんじゃないかと思えてくる.

あたたかい家のなかに入り,ぬるま湯にじっくり手を浸した後,カプチーノを作って飲んだ.どこかに定住することになったら,きっと,こういうエスプレッソマシンを買うのだ.