よるのおわり

日々を愛でる

川面の光

午前中は,明るい雲の合間から,ちょっと太陽がのぞいたりしていた.そんななか,荒野を走る.

川面が凍って,複雑に光を反射してちらちらしているように見えたのだけれど,近づいてみるとそうではなく,ぼこぼこした雲のすきまからのぞく太陽を映して,まだらなもようになっていたのだった.明るい荒野を走るのは久しぶりのような気がしてくる.

もはや海に行くのはあきらめて,(というものの心のどこかではあきらめきれずに),今日はまだ行ったことのない道を走ってみる.舗装されていない砂利道で,遠くの前方に人影がふたつ見える.近づいていくと,馬に乗った人たちだった.私の知っている馬に比べて,だいぶずんぐりしており,寒い地方に適応した結果なのかしらん…などと思ったりする.

はじめて見るキジのような鳥もいる.

走っている道は荒野の端にあたるようで,右手の金網の向こう側の芝生を犬が走っていたりした.灰色のあたたかい毛糸の靴下みたいな犬が向うから駆けてきて,ベンチのかげのゴミ箱の後ろで立ち止まる.私は一瞬目を切り,そうしてまた右側に視線を戻すと,毛糸の靴下犬がまた向うから駆けてくる.ふたご!? と目を疑うも,おそらく,ゴミ箱のところからすぐに引き返して,Uターンし,またこちらに向かって駆けてきたのであろう.

近道をするため,荒野のあぜ道に踏み込む.だんだんぬかるんでくる.以前の教訓を活かし,こういう道は注意深く,歩くことにする.できるだけ硬い部分を選んで足を運び,靴が泥に吸い込まれそうになったら決して無理をしない.そこそこの距離を歩いて,見慣れた舗装の道に出た.

午後からは空が曇りはじめ,大気は濁った灰色になってきた.午前中に走っておいて良かった.