よるのおわり

日々を愛でる

橋の白猫

荒野へ渡る橋のところに,ふさふさした毛足の長い,真っ白な猫がいた.橋の左側,芝生になっているところに,目つき悪くこちらを見上げながら.その横で昇り降り運動をしているおばさんの飼い猫かもしれない.猫を外に連れ出すなんて,なんだかおかしいな…と思いながら通りすぎる.

数日後,橋を通ろうと近づくと,同じ猫が同じ場所にいる.今度はおばさんはおらず,周りに飼い主らしき人も見当たらない.野良猫にしては毛並みがきれいすぎるような気がするし,だいたいこの国では野良猫というものをまだ一度も見かけていない.この猫はなんなのだろうか.

もしかしたら,私にだけ見えているとか,そういうことはないだろうか.あるいは,いきなり口を開いて人間の言葉をしゃべりだすとか.…そんなことを思いながらまた通りすぎる.