よるのおわり

日々を愛でる

暑さと寒さ

Tシャツ一枚になって熱帯の調査地でサンプルを処理しながら,州都の真昼間の蒸し暑い通りを歩きながら,たびたび,数週間前は極寒の北欧にいたのだな……と不思議な気分で思い出していた.彼の国では,冬用の分厚いコートを着て,それでもまだ寒かったりしたのに.

それもあっというまに日々は過ぎ,フィールドワークとしてはかなり納得のいく調査を終えて,日本に帰ってきたのもつい数日前.濁ったような寒さが残る街であれこれ忙しく数日間を過ごして,そうしてこちらに帰ってきたのだった.

すっかり半袖になって,長ズボンもロールアップして,しかし空港を出ると思いのほか寒い.家を出ていったときのほうが暖かかったような気がする.車の窓を開けていたけれど,しばらくすると冷えてくしゃみが出てくる.窓をあわてて閉める.

それでも,家の近くのコンビニで,アイスクリームなど買って食べてしまう.珍しいチョコミントをみつけると試しておかずにはいられない.家までぶらぶらと歩き,シャワーを浴びて,一息ついたらもう22時を過ぎていた.

2週間ほど前にここを出たときには,帰ってくるときが永遠に遠いかのような気がしていた.でも振り返ってみると,なんだかすごくあっというまに過ぎ去った.雨の大阪も,深夜2時の議論も,熱帯の太陽やスコールも,東京の透明な日差しも,バスの中から見た四条河原町も,すでに後ろに過ぎ去っている.自分がどこにいるのか,一瞬だけ,よくわからなくなる.