よるのおわり

日々を愛でる

いつもの春

4月の終わり頃の週末に、毎年、中部地方の研究所で会議がある。昼ごろ、半袖になっても汗がにじみ出る陽気のなか、桜の終わった川辺を歩き、坂を登る。

研究所の宿舎は、だいぶ年季が入っていて、内装もきわめてシンプルだけれど、窓の外に広がる春の景色が、そこだけいきいきとしているよう。道を歩いているときはあんなに暑いのに、宿舎のなかはひんやりして、ひざかけやフリースがないと冷えきってしまう。この、宿舎のそっけなさが、私はなんだか大好きなのだった。

今回泊まったのはいつもとは違うしつらえの部屋で、複数人が滞在できるよう、部屋のなかにキッチンやシャワーまでそろっている。しかし、夜ベッドに入ると、枕もとの配管から音がする。小さな生き物がパタパタ走りまわっている音。たぶんネズミ。この音のせいか、今年は特にひどい花粉症のせいか、あるいは朝飲んだミルクティーのせいなのか、あまりよく眠れなかった。

なににしても、ここに来ると毎年、また春が来たのだなあと感じる。