よるのおわり

日々を愛でる

異国の風邪

冬の3ヶ月間を過ごした北欧の国に、研究会と実験のためふたたび戻る。季節は夏。夜の20時過ぎまで明るくて、乾燥した涼しい気候。しかし、これまでの島の疲れや寒さも溜まっていたのか、着いて翌日、乾燥に喉をやられたのを発端にして、なし崩し的に風邪をひいて寝込んでしまう。

1日目 (月曜) は全身がだるく、2〜3日目は頭が熱く、4日目からは復帰したものの頭がふらついた。ここまで体調が悪化した風邪は10年ぶりくらいのような気がする。頭があまりにも熱いのでインフルエンザを疑い、2日目の夜には保険会社経由で病院を予約し、夜20時に電車に乗ってでかけていった。夢のなかを歩いているような気分で病院にたどり着き、診察を受けると、熱は38度しかなく、インフルエンザではなく普通のウイルス感染ではないかとのことだった。

当初は、3日目には回復しているだろうと期待していたのが、思ったよりつらくて、長引いてしまった。4日目には実験を始めなければいろいろなことが終わらないので、11時くらいまでベッドの上でごろごろしながら、なんとか大学に向かった。

いざとなったら、宿のホストや滞在先の研究室の人たちがいるから、異国の地にあるという不安はなかったのだけれど、食欲がなくなってしまって困った。黒パンもスープも普段は大好きなのだけれど、風邪をひくと一気にそういうものが食べたくなくなってしまい、3日目まではほとんどフルーツとジュースだけでしのいでいた。3日目の終わりになってやっと食欲が出てきて、カレーと米なら食べられる…と、ほうほうの体でスーパーに行き、冷凍食品のタイカレーを買い込んで食べていた。

5日目にはだいぶ回復したものの、実験器具がみつからないという手違いがあり、そのリカバリーのために手を尽くしていたら、実験が夜中までかかってしまった。すべてが終わったのは午前2時。電車の中では、金曜の夜に夜通し騒いでいた若者たちを横目で眺めつつ、へとへとになりながら帰宅した。風邪をひいてずっと寝ていたおかげで、眠気だけはそんなに強くなかったけれど。

そうして土日に最後の実験を終わらせ、共同研究者とお昼を食べて、帰ってきたのだった。今回ばかりはさんざんな滞在だったけれど、風邪が治ったあとに友人たちにも会えたのは、唯一うれしかったことか。