よるのおわり

日々を愛でる

猫と月

夕方のすこし前、散歩にでたら、塀の上に乗って向こうを一心に見つめている猫がいた。私には気づいていないようだったので、そろりそろりと忍び寄る。ビルケンシュトックのサンダルが砂利を踏む音が悔しい。
あとちょっと、というところで気づかれて、振り向かれて目が合う。逃げるかなと思ったけれど、そのままこちらに睨みをきかせたまま、動く気配がない。飽きるかなと思って私も見つめ続けていたけれど、1-2分たっても目をそむける気配がない。じゃあ首が回らないところまで動いたらどうなるかな? と思って、もと来た道をそろりそろりと戻ると、ちゃんと首を回してこちらを見る。
では一度視界から消えてみよう、と塀の影に隠れて、1分くらいしてまたパッと見ると、やはりこちらを見ている。気配でわかってしまうのだろうか……。しかたない、と思って一度帰りはじめて、5メートルくらい歩いて、今ならどうかな!? と思ってまたのぞきに行くと、やはりこちらを見ていた。完敗である。

夜、これまで通ったことのない小道に折れてみたら、いつもの知った道に出た。ここにつながっていたのか。帰りも同じ道を通ると、小高い丘のところで鳥かコウモリが騒ぐ声が聞こえた。ちょっともやもやした夜空には新月に近い月が浮かんでいて、隣を歩くRが、「あれは今から沈むところだよ。新月は昼のあいだ空にあって、太陽にちょっと遅れて沈むんだ」と教えてくれた。

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キッ