よるのおわり

日々を愛でる

三角関数と私

高校生のとき、校内の上履きに三角関数の公式をでかでかと書いていた。真っ白の上履きの無機質さを物足りなく思ったためで、暗記にも役立つもの…ということで思い当たったのが三角関数だった。というよりも、三角関数を選んだのはそのデザイン性に惹かれたためというほうが大きい。sinとかcosとか小文字で書くと丸々としていてなにやらかわいらしいし、θの見栄えには惚れ惚れしてしまう。今でも、三角関数がさりげなくデザインとして使われた小物があったら、即座に買ってしまうかもしれない。ちなみに、数学の定期試験は上履きを脱いで受けた。
そんなにも気に入った三角関数だったけれど、大学受験が終わったらきれいに忘れてしまった。そういえば上履きに公式を書いていたな…とふと思い出したのも高校卒業以来はじめてのことではなかったか。

とはいえしかし、最近改訂した論文では、三角関数を18年ぶりくらいに使う機会があった。周期性をもつデータを三角関数によってよりよくモデル化することができる。錆びついた知識を揺り起こしながら、インターネットで公式や展開式を調べつつ (便利な時代になったものだ…)、sinとcosの組み合わせによって開始日のずれも調整できることを確かめたときには、なんとまあ美しい公式か…と20年ぶりくらいに三角関数の美しさにときめいた。

こんなふうに、三角関数は私の人生を豊かにしてくれる。