よるのおわり

日々を愛でる

総合病院

9時から検診があり、長いコの字を通り、駅を越えて、丘の上の総合病院へ。駐輪場には南京錠で閉じられた道があり、丈の高い藪がもうもうと茂っていた。

長い歴史を経てきたことがひと目でわかる館内には、すでにたくさんの人びとが待っており、強烈な夏の光で真っ白になった館内で、ソファに腰掛けていた。

ふと上を見上げるど、埃をかぶったシャンデリアが下がっており、向こうの壁にはさえない大きな油絵もかかっている。そういえば外には、壊れかけ始めている立像のようなものもあった。

靴と素足

電車の隣に座った夫婦が、ふと床を見たあとに話をはじめ、床に置いていたリュックを取り上げる。何事かと思って私も床を見ると、水がどこからか流れてきている。慣性の法則にしたがって、電車の出発や停止にあわせて、あっちに行ったりこっちに来たり。

どこが水源なのだろうと向こうのほうを見るけれど、それらしいものはない。ただ、水流の真ん中のところ、水の量がもっとも多い場所に、ピンクのスニーカーを履いた女性が座っている。スニーカーの足の裏は、ばっちり水源の水たまりを踏んで、しかし本人は一向に気にしていない様子。

実はマーメイドなのではなかろうか、と思いながら電車を降りた。

 

帰り道、お墓のところを通ると、10メートルほど手前を、喪服を着たおばあさんが歩いている。黒い靴は束ねて片手に持ち、素足で歩いている。真夏のこの昼下がりに、熱せられたアスファルトで足の裏をやけどしてしまうのではないかとらひやひやする。

道のかどのところに、おじいさんが2台の自転車を引いてくるのが見え、おばあさんはそこに合流した。おじいさんが放った黒いビーチサンダルを履きながら、おばあさんはハンドバックを荷台に置き、自転車にまたがったところを、私は通り過ぎていった。

アガラガラ

研究打ち合わせが終わったあとに、遺跡見学につれていっていただく。昼もだいぶ過ぎた遅い時間、お昼ご飯も食べずに、宿舎を通り越してどんどん山奥へ。どこかレストランにでも寄るのだろうか…と思っていたけれど、ランドクルーザーがごとんごとん揺れる本当の山道に突入。同行者は「おそらくBBQをするのだろう」と言う。

果たしてそのとおり、1時間ほど車が走ったあとについたのは、この島の反対側の静かな入り江。泳ぐにはまだ寒すぎるけれど、真っ青な海が広がり、向こうのほうには灯台が見える。実はここにも遺跡があり、そこの見学と調査をひとしきり済ませたあと、横で準備されていたBBQに参加することになったのだった。

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途中、海岸に打ち上げられているふかふかしたものを指して、あれは何かと現地の研究者に訊く。彼らは、アガラガラだ、と言う。海藻のようなものらしい。ひとりが胸ポケットからチョコレートを取り出し、これに入っている、と言う。海藻入りのそんな不思議なチョコレートがあるのか…。後で調べると、本当に売られていた。(そしてお土産に購入した)

その場ですぐにメモを取らなかったので、「アガラガラ」だったか「グリンゴリン」だったか、よくわからなくなってしまった。博物館にもこの標本が展示されていけれど、それもメモするのを忘れてしまった。記憶にある限りはアガラガラだったと思っているのだけれど、本当はもっと違った名前だったかもしれない。

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奇跡いくつか

精神的にハードな3週間を終えて、なんとか目的を達成して無事に帰国し (まるで奇跡のように思える)、休暇なんだかライフイベントの準備なんだかよくわからない数日間を過ごしていた。ここに帰ってくると、本当に帰ってきた、という気がする。

朝の道端で見たアフリカマイマイの干からびた殻にはギンバエが張り付いていて、夕方同じところを通っても、同じように張り付いていた。よほど好きなのだろうか? あるいはギンバエも干からびているのかしら。

暇をみつけて泳ぎに行った海は、平日の午前中だったこともあって、愉快なほど空いており、調子に乗って泳いでいたら水中メガネをどこかに落としてしまった。半分諦めながら、水中に目をやりつつ泳いでいると、水色のプラスチックが海底に見えて、手をのばして拾ってみたら、まさに落とした水中メガネだった。こんなこともあるのだな。

ハゲコウ

背の高いヤシの木の林冠をハゲコウがよたよたと歩いており、枝がゆさゆさと揺れている。2羽でけんかしたりしているのも見える。朝の静かな空気が広がっており、今日も騒がしくなりそうな気配に満ちている。