よるのおわり

日々を愛でる

2015-01-01から1年間の記事一覧

さぼり

夢のなかで、授業をさぼっていた。授業の内容には全然興味が持てず、教える人の人柄はどうしても好きになれない。ああいやだ、授業に出たくない。でもその授業は、とらなければならないもので、必要最低限の出席日数で、あまりついていけていない内容のテス…

向き

真夜中、睡眠と覚醒のあいだのまどろんだ感覚のなかに自分を見出して、ふと、自分が反対向きに寝ているような錯覚に襲われる。ベッドのこちら側を頭にして、左側が壁に面していたのが、あちら側を頭にして、右側を壁に接しているような。明かりをつければ真…

朝のはじまり

間接照明が照らす室内から,重たいカーテンを開けて,いつのまにか外が白んでいるのを見る.そういえば雨の音ももう聞こえなくなっている.まだ暗い影に覆われた街と,ねずみ色の雲のあいだに,ちょっと赤みのさした空が光っているのを見ると,ああ大丈夫,…

朝の段ボール箱

今日は,停電までのあいだに作業をしようと,始発の次の次くらいの電車で,大学に向かっていたのね.雨の降るぼんやりした朝で,気温はそんなに低くないんだけど,玄関のドアを開けたら秋の匂いがした.靴は布のぺたんとしたやつで,けっこう濡れちゃったん…

曼殊院夜間拝観

曼殊院の夜間拝観に行ってきた.車通りの多い白川通りを東に抜けると,灯りも十分にないような道がつづいていく.ゆったりした坂道を10分くらい登っていくと,曼殊院に着く.闇のなかに紅葉がはっと浮かび上がったりして,怖いような綺麗なような,よくわか…

夜のフロントガラスに当たる雨を見ているのが好きだ.車内には雨が入ってこないから,この場所は落ち着いて守られているのだという安心感があって,好きなのかもしれない.夜であれば,信号や家の灯や,いろいろな光が,雨とともに流れ去っていく.フロント…

秋の色

秋の印象というものが,毎年毎年,ゆれ動く.いつからはじまっていつ終わるのか,どんな服を着たらいいのか,風の匂いはどうだったか….ほかの季節は,もっとばっちりとした印象があるのに.昨日は,秋って,こんなにも光が色を持っていたんだっけと驚いて,…

流星群

深夜から明け方にかけてオリオン座流星群で、早起きのあなたには見られるかもしれないよ、というメッセージが届く。早起きするんだから眠りが浅くなってもいいか、と久々にコーヒーを飲んだりなんかして、眠りにつく。プラシーボなのか本当なのかあやしいと…

広い部屋

窓が大きくてだだっ広い部屋に静かに居るのが好きだった。同室の人はほとんど姿を見せず、現れても影のように揺れているだけ。土日や連休には、その部屋だけ時間が止まってしまったかのように、自然光と静かな大気が空間を満たす。コーヒーを淹れると、香り…

武蔵小杉

平日の昼間である.この駅はこんなに大きかったっけ,たしか昔はもっと薄暗い感じで,それもかえって雰囲気があって良かったのだけれど…なんてことを考えながら,武蔵小杉の駅のホームを歩いていた.古びたマンションのベランダにつるされた洗濯物が,さらっ…

108円の悲しみ

百円均一でタッパーをふたつ買ってきた.ひとつを洗っている最中に,ラベルを取ろうとすると,水で湿ったためかうまく剥がれない.ああもう…と思い,金タワシでラベルのところをこすると,紙のラベルがぼろぼろと崩れ,タッパーは引っかき傷だらけになり,接…

ついこのあいだまでは,朝起きると外はもう明るかった.はぁまた1日がはじまる…なんて思いながら,その日を過ごす準備をはじめたものだった.それが,あっちに行ったりこっちに行ったりしているあいだに,住まいにはもう秋がやってきていて,朝起きても外は…

ニンニク

ニンニクの薄皮を剥く秋の夜.剥きながら考え事でもしようかなと思っていたけれど,結局なにも考えることができずに,ひたすらニンニクを剥いていた.あんがい力を入れて房を揉んでも,中身は割れたりしないんだなということがわかった.まだ新しいと弾力が…

外壁

外壁工事のため、窓の外を足場が固め、天幕がそれを囲っている。 真夏、部屋に帰ってきたとき、なんだか素敵な気分がした。 あまりに強い夏の光の反射はここまで直接届くことがなく、淡い光が部屋の中に満ちている。 小さい頃に、テーブルの上から布団をたら…

空いた隣の座席に置いたペットボトルのなかの水が,なにかの光を反映してチャプチャプきらめく.飛行機の窓の外は夜で,たまに遠くで小さな雷明がひらめくと,その周りの雲と海が一瞬だけ姿をあらわす.光があるときだけ,あの雲と海は存在する.

黒いもの

家の前を黒っぽいぬらぬらしたものが通りすぎたような気がして,一度は建物に入ったものの,気になって,また外に出て追いかけてみた.中世西洋の絵に描かれた悪魔のようなものに見えたのだった.路地の先では真っ黒な黒猫が2匹,揉み合ってけんかをしていて…

志明院

山奥の志明院というお寺に行ってきた.鴨川の源流が静かに祀られている場所で,幽玄かつ荘厳,このような場所なら天狗や水神がいてもおかしくないような気がした.ここだけ気温が低くて,ゆったりした力強い時間の流れを感じて,何度か鳥肌が立った. 志明院…

山攻め

こちらに来てからは,山ばかり走っている.東京にいたときは川沿いの平地を走っていた.平地を走っているときは,スピードに追い立てられるようにペダルを回していたけれど,ヒルクライムではむしろスピードを出せないほうが当然なので,自分のペースで走る…

おすそわけガム

近くの人がポテトチップスを食べはじめて,良い香りとバリバリする音が聞こえてくる. 私は味のなくなったガムを噛んでおり,ポテトチップス味のガムを噛んでいるような気分になってくる.そういえばドラえもんの道具にこんなガムがあった.

加速度的に大きくなるあわただしさを必死でおさえつけて,なんとか西に移動してくることができた.3月の最終日,3年前の6月に見たようながらんとした部屋を前にして,なんだか感傷的な気分になってしまった.この部屋,この街,ここで暮らした3年間に出会っ…

夜の公園の発泡酒

その頃の私はやさぐれており,手近な夜の公園にでかけ,発泡酒の缶を片手に,人生の問題をああでもないこうでもないと考えていた.やさぐれたときに夜の公園で発泡酒を飲むというアイデアは,いつもけらけらと暮している友人から教えてもらったことで,そう…

POLO

POLOというお菓子があった.スースーするやつで,たしかドーナツみたいな真ん中に穴の空いた白いタブレットに,大文字でPOLO・POLO・POLOと繰り返し書いてあった気がする.青だか緑だかの紙に巻かれた銀紙に,きれいに並んで包まれていた.このお菓子と分か…

潜水

死にものぐるいでお仕事を片づけて、それでも片づかないものからは身を振りはらうようにして出てきた旅先で、気の抜けたゆっくりした日々に体が慣れていくの、夏のプールで水のなかに潜って周りの音が一瞬で聞こえなくなって、自分の心音が聞こえてきたりす…

腹骨

夢のなかでは、本来背骨であるものがお腹の前からつき出しており、腰骨であるものが脚の付け根から前にせり出していた。こんなところに骨があったっけ、と思いつつ、起きてみると確かにそんなところに骨のあるはずはなかったのだった。

カフェイン

コーヒーやほうじ茶は大好きなのだけれど,最近,週に4日くらいはカフェインを摂取しない日ということにしている.というわけで,ノンカフェインのお茶を買ってきて,飲んでいる.おいしいのだけれど,なにか物足りないような気もする.物足りなさが飽和した…

整備

ホイールを開けてベアリングのグリスを掃除して、数年ほど動作のおかしかったシフトワイヤーを交換した。 その結果、自転車はまるで別な乗り物かと思うほど、スムーズに動き、こちらの意思にぴたりとついてくるようになった。ついついおろそかになってしまう…

空気

朝、言問通りの坂をのぼったところで、空気が変わった。自転車に乗ってウインドブレーカーを着ていても、服のなかからはっきりとその生暖かさを感じるような。時間や場所など、何によるものなのか、よくわからない。ひとつ言えることは、この日はそれから後…

昨年

この頃,年末年始感がかつてないほど希薄.飛躍だの成長だの挑戦だの,そういった言葉はどうでも良いのだけれど,昨2014年は,私にとって本当に価値のある1年間だった.自分の手で自分の輪郭をなぞって,その形を理解し受け入れることができた.あらためて前…

やすり

アンプルに入った試薬を使った.試薬の箱を開けると,つるんとしたガラスで封入された瓶がでてきて,どうやって開けるのか,見当がつかなかった.というよりそもそも,哺乳瓶のような形をしたこの瓶がなんという名前なのかもわからなかった.ガラス切りで頭…