よるのおわり

日々を愛でる

2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ねこじゃらし

夜の道端に、何かがシャッシャッと通り過ぎたあとのような光の軌跡が見えて、近寄ってみると、青々としたねこじゃらしがたくさん生えていたのだった。シュッと丸まってつやつやとした穂のところに、街灯の光なんかが反射して、きらきら光っている。 ねこじゃ…

いつもの春

4月の終わり頃の週末に、毎年、中部地方の研究所で会議がある。昼ごろ、半袖になっても汗がにじみ出る陽気のなか、桜の終わった川辺を歩き、坂を登る。 研究所の宿舎は、だいぶ年季が入っていて、内装もきわめてシンプルだけれど、窓の外に広がる春の景色が…

墓場の烏

真夜中に帰宅途中のお墓のところ、せりだした崖の上に、ぽつぽつと何本も高い木が立っている。崖の端の2本から、烏の騒ぐ低い声が聞こえる。灰色の空にすかして見ると、真夜中ではあるけれど、何羽かは枝のあいだをぱさぱさ飛んでいる。夜のお墓に烏が鳴くと…

蓋探し

スーパーで特売だったチルドの餃子を買ったので,フライパンの蓋が必要になった.しかし,最近のフライパンの蓋は,実はあまり好きではない.ガラス窓とか置ける取手とか,そういうちゃらちゃらしたものは何にもいらないから,アルミでできたペラペラの軽く…

ホビットの冒険

寝る前に『ホビットの冒険』を読んでいたからか,おかしな夢を見る.市民マラソンのランナーたちをもてなすために,お昼を出さなければならない.量が足りないので,コンビニに買い出しに行く.近くのコンビニはそれでもけっこう離れていて,自転車に乗って…

動物たち

ガラス張りの診療所のようなところに座っていると,外から,ウマのような,シカのような,あるいは火の鳥のようなよくわからない動物が,ガラスのドアを開けたそうにしている.大学生の頃に流行った (今でも流行っているのだろうか) 太いストライプで複数の…

春だから

最近ドライアイで目が乾く.花粉症の影響もあるのかもしれない.しばしばする目をぎゅっとつむって,また開けると,二重になったような気がするだけで,乾きはぜんぜん癒やされない.やれやれ.駅からの帰りに脇にそれると,猫がいる道を通る.黒猫はいつも…

サメの見張り台

海にぽつんと突き刺さった高い見張り台のようなところに、仲間と数人で冬ごもりのようなことをしていた。外は薄暗くて寒く、濁ってぼんやりした窓を細い雨が濡らす。幾日も眠り、暖かくやわらかな布団のなかでまどろむ。 海の中には大きな動物がいる。深海か…