よるのおわり

日々を愛でる

2013-01-01から1年間の記事一覧

2013年に読んだ本

今年読んで印象深かった本を振り返ってみる.いちばん,と言われるととても困るけれど,あえて挙げるなら,吉田篤弘『小さな男*静かな声』になるのかな.さらさらと流れていくのっぺりした日常にアクセントをつけて,無機質なさみしさと共存していくふたりの…

アリジゴク

大きくなってからは比喩上の蟻地獄にしか出会っていないけれど,ふいに,生物としてのアリジゴクのことを思い出した.実家が今のところに越してくる前,家は団地の1階にあって,その軒下は子供の頃のお気に入りの場所のひとつだった.軒下にはサラサラした砂…

雨上がり

ビルの谷間に空が切り取られていて,自分が魚になったような想像をする.水たまりに映る空は,海のようにもみえる.見上げることは見下ろされることで,見上げたはずが見下ろしている. 見上げる 見下ろす

渡り鳥

アバディーン大学の四角いスイカみたいな図書館の最上階のセミナー室から見た,渡り鳥のこと,忘れちゃいそうだから,書いておこうと思う.1日目はどんよりと,午前中から蛍光灯をつけないと気が滅入ってくるような曇り空だったのが,2日目は朝から晴れ渡っ…

チベット映画

「ペマ・ツェテン映画祭」でチベットの現代映画を観てきた.山間部や草原の遠景が,風の音や草の匂いをここまで運んでくるような美しさだったし,表情や演出を抑制した静かな雰囲気から,登場人物の心の動きがおだやかに伝わってくるようだった.映画は同時…

スコットランド

どんよりした広い空と,長い夜と,海の近い石造りの街が,すてきなところだった.カラスだけでなくカモメが街や大学にいて,芝生で足踏みをしたりしていた※.空き時間に海まで散歩したり 椅子が捨ててあったり 彫像だって体を休めたかったり ※ こんなの→ Hap…

寛永寺陸橋

突然だけれど,寛永寺陸橋に対する愛を語りたい.まず,線路と電線.ぐちゃぐちゃした平行線が遠くまで走っているのを見ると,ちょっとした開放感を覚える.この線路の上を電車が走っている光景が,見たことはあるのだけれど,なんだかとっても似つかわしく…

系統樹の森

10日ほど前に,竹尾見本帖本店の「系統樹の森 ― 系統樹を介して樹と人間と知識の諸相を鑑賞する」を観てきた.家系から企業ロゴまで,人間はどうしてこうも,分類して,由来を説明したがるいきものなんだろうかと,半ば感心し半ばあきれながら,数々の系統樹…

砥石

ひとりになりたい気持ちにふっと襲われて,めったに食べないカップ麺を,博物館の外の隅っこのほうですすってみたのが昼のことだった.賞味期限が1年前に切れていたし,お湯がなかなか沸かなくて,なんだかあんまり慰めにはならなかった.敷地外の高層マンシ…

いちばん

いちばんを特定する質問が昔から苦手だった※.「好きな食べ物は何?」とか「どんなタイプが好み?」とか「将来の夢は?」とか.そんなこと聞かれたって,その場になってみなければ,何が良いかなんてわからないもの.そうした質問に対して,自分自身は依然あ…

蛍光灯

蛍光灯が苦手だ.あの有無を言わさぬ白い光のもとでは,いろんな物体が陰影を消されて平板になり,自分自身まで平べったくなったように感じてしまう.夜中,コンビニなどの屋内で煌々と蛍光灯が灯っているのを見ると,そわそわと落ち着かない気分になってく…

いたずらがきが間を埋める

いたずらがきっていうと,どうして絵が思い出されるのか考えていて,いや文章でも良いではないか,ふんふんと鼻歌でも歌いながら,そこにあった紙の端っことか,Webの折り重なった奥のほうとか,そういうところになんとなく文字を連ねていくのも素敵だなって…

乱雑

風邪をひいた.寝ていたとき,自分の身体と思考が乱雑になっているような気がした.なんともたとえようがないのだけれど,雑然とモノが散らかっている部屋になったような気分.比喩的に,「片付ける」こともできたのだけれど,とくに不愉快もなかったので,…

静嘉堂文庫

先日,静嘉堂文庫美術館に,展覧会「幕末の北方探検家 松浦武四郎」を観に行った.いまやっている研究の参考になるかなと多少期待していたけれど,そちらはあまり満たされず,純粋に展覧会として楽しんできた.興味を惹かれたのは,趣きのある一畳敷,ユーモ…

好物

大人になってから食べられるようになったもの,むしろ転じて大好物になったもの.しいたけ,なす,ぎんなん.先日,そこに,味のついていない炭酸水が加わることを発見した.

7の段

かけ算の7の段が大好きだ. 7×3が21になって,次の7×4が28になるところなんか,もうたまらない.なんでかよくわからないけど,かけ算の7の段が好きだ.

機械

接触しているものがどんどん機械になって,機械がさらに新たな機械を生み,それが自分に迫ってくるイメージを,小さな頃に何度も繰り返し頭に描いていたことを,ふと思い出した.たまに夢に見たりもしていたのだった.なんだか,言葉にも似た性質があるよう…

揚げ物

揚げ物をすると,それだけでおなかがいっぱいになってしまう.熱を含んだ油が揮発して,皮膚を覆って,口や鼻から知らずのうちに吸い込んでいるような,そんな錯覚.後片付けが終わると,そこで初めて新鮮な空気を吸えたように,思わずフーッと息が漏れるの…

夢のなかでは,中年の男性を脅しており,鼻の頭をちょこっと前歯でかじる,ということをしていた.その後,流れが切断された別の夢では,私は激しく鼻血を出していた.それで,起きたとき,思わず鼻の状態を確認してしまった.

ああそうだやらなきゃ

なぜかやたらと動物的な多幸感に包まれながら昼寝をしたら,難攻不落の豪邸に忍びこんで,何かを盗みだしてくる夢を見た.しなければならない申請がひとつあって,それがまだ手付かずであることを無意識下に反映したのではないかな,と解釈した.

重さ

「制度とか大きな仕組みとしてはそうだよね、たしかに正論かもしれない。でも、それ、目の前のあなたの友人が同じ状況に陥って困っていたとしても、一字一句違わず同じことを言えるのかな?」自身の眼が観察をして、自身の心が納得して結論づけたのでない言…

ひとり

どこかで,基本は「一人」であると考えている.一人で食べて,一人で考えて,一人で眠って,一人で仕事をする.この先,何がどうなるものか分からないけれど,たとえ大地震が来ても,おそらくこの「一人」の牙城は崩れない.牙城は大げさだけど,長年の蓄積…

降り始め

雨が降りだしたときの感じが好きだ. さーっと空気がざわざわしたような気がして. ちょっと遅れて匂いがやってくる.

虫の寒気

旅先の布団で何かのムシに刺された.2 cmくらいのピンク色の痕が,首筋や腿にいくつもいくつもできていて,とにかく痒い.おとといの夜は,下腿がぶくぶくと震えるような痒みが一晩中続いて,結局眠れなかった.発疹が大きくなっていったおとといは,痒さで…

運だよね

なにかがうまくいってたとして,でも,それって結局は運みたいなものだよね,ってことを考えている.たしかに努力し続けたのかもしれないし,苦しいことがたくさんあってもやめなかったのかもしれない.だからといって努力が必ず成果に結びつくわけではない…

台風

昨日,台風が過ぎていった後の夕焼けはとってもきれいで,居室の机からふと目を上げると,セピア色の景色が窓の外に広がっていた.見事なセピア色だった. 地上や樹が暗くなって,でも遠くの白い建物は夕陽に染められてオレンジ色になっているような,そんな…

カエル

3次元のトランポリンをするような夢を見た※.壁に這い登って,ある程度の高さからダイブして,床で跳ねてまた別な壁にくっついて.カエルなんかは,こんな気分になるのだろうか. ※ 旅先ですごくやわらかい布団に寝たせいかも.

倉敷

岡山に行ってきて,倉敷にも足を伸ばした.大原美術館に1日のほとんどを費やし,なまこ壁の街や柳の川辺をぶらぶらしていた.時間がゆったり流れていた. 庭充です。 蔦です。 とまれ こまめなやつだこと。

上野動物園

夏の切れ端のような暑さが街を覆った先日,上野動物園に行くことになった.こんなに近くに暮らしてるのに,訪れるのは20年ぶりくらいかもしれない.非現実的な雲が空を闊歩していて,「virtual cloud だーっ!!」とかなんとか言ってわいわいしていたのでし…

まだ直接には逢ったことのない,でも手を伸ばせばすぐに会えそうな人がいて,そうした場合に会ってしまうことの是非を最近考えている.Web時代に変容しつつあるすべての関係性を「会うこと」の濃さで脅かしてしまうのも無粋な気がして.逢うべき人にはいつか…