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よるのおわり

日々を愛でる

大晦日 その1

朝早めの時間に家を出て,東京ビッグサイトへ向かう.知人の出展のお手伝い.

しかしとにかく人,人,人!!
7時半過ぎの国際展示場駅,入場規制がなくなった後の会場,会場から駅までの道,いろんな人が,川が流れるように,あっちこっちに押し流されるように,群れとなって動いていく.お昼を食べる時間がなかったことも手伝って,人酔い状態になって頭が痛くなる.


午後からはお仕事があったので,午前中で引き上げてきて,新木場駅のホームでほっと息をつく.プラットフォームの自販機で購入したクリスタルガイザーのペットボトルがかわいい形だった.


大学で,やっと,朝作ったサンドイッチをほおばり,朝淹れてきたものの飲む暇のなかったコーヒーを味わう.実験と,測定の準備にかかる手間と時間を頭の中でシミュレートして,夜は何時に終わるだろうか.早めに出たいところ.

大晦日 その2

お仕事で遅くなって19時を過ぎた通りには、普段の5分の1くらいの人通りしかなく、急いで駅に向かう。電車を乗り継いで1時間ちょっと、海のほうの街に降り立つ。

 

駅から友人宅まで、バスは出ているみたいだけれど、せっかくなので歩いてみる。Googleマップでは30分ちょっと。あえて山を越えていく道を選んでみる。人通りはさらに少なく、ところどころで漏れるお店や人家の暖かい光が、なんだかうれしい。

風もなく比較的暖かい夜で、山の中腹には舗装された道や街灯もそろっているけれど、なんだか心細い。何度か道を間違えながら、山頂に着いて、続けて下りにさしかかる。

と、そこで雰囲気が変わる。これまでにもちょいちょいと、デザイン性のある大きな家があったものの、この区画ではすべての家が大きく、庭なんかもあり、お金と手間がかかっていることがひと目でわかる。家政婦さんが住み込んでいてもなんらおかしくないような。

延々と続く別荘のような家々を抜けて、ふたたび山を下りて、目指す建物にたどり着く。22時前。ああ…長い1日だった。

 

日本酒に、お刺身や鍋、アイスクリームなどをごちそうになり、なんとはなしに紅白を見たりおしゃべりをしたり、まったりと過ごしていたら年が明ける。翌日 (もう当日だけれど) の早い私は客間のベッドを使わせてもらい、ほかの人びとが初詣に行く準備をする音を聞きながら眠りに落ちる。

朝方、ファンタジーの世界のようにきれいな草が生えているけれど、右のほうに崖が深く落ち込むきれいな稜線を歩く夢を見る。さしかかった狭いところを、私には通れる気がしなくて、踏ん切りがつかないまま立ち止まっているところで夢の記憶は途切れる。

 

朝、ほかの人びとが寝ているなか、シャワーを借りて、ひと足先においとまする。正月らしい雅楽の音楽が山のほうから聞こえてきて、バスの時刻は合わず、また徒歩で駅を目指す。山のなかの別荘も、中腹の山道も、朝の光の下では魔法が剥がれ落ちて平凡な景色に変わる。

なぜかコンビニの軒先に売っていた、たっぷりしたミカンを買い、電車に乗る。電車のなかで朝ごはんがわりに食べると、大ぶりにもかかわらず、汁気たっぷりで味もしっかりしている (大ぶりのミカンは雑な味でおいしくないという偏見を私は持っている)。朝の空気に冷やされて、甘くて酸っぱい果汁が喉を潤した。

 

そうして、むしょうに暖かいコーヒーを飲みたくなって、大学の近くのコーヒーショップでモカを頼んだ。

ススキ

季節外れの台風のような強い風が吹いていて,もう少しで雨が降り出すところだった.

海に面した駅に電車が止まって,山側のドアが開いて,高い石垣の壁の手前に道路があり,道路と線路を仕切るガードレールがあって,そのガードレールの下から枯れたススキが,強い風にあおられて,どうどうとなびいていた.1 m以上はありそうな,数千本のススキが,シュラシュラとすさまじい音を立てて.

雨はまだ降り出していないけれど,開いたドアから吹き込んできた風は,濃い灰色で,生暖かく,湿っていた.停車時間の数十秒だけ,そうした圧倒的なリアリティが身を包み,ドアが閉まると何もかもがきれいに消えた.停車時間のあいだ,ずっと,開いたドアから外を見つめていた.

美しいと思った.

高瀬川

銭湯の鏡に貼ってある広告を見比べているときだった.

鏡の下部分10 cmくらいのところに,帯状に貼り付けられている,あの広告.私が見比べていたのは,韓国系の教会の広告で,なぜわざわざ隣り合った鏡に同じものを貼るのだろう…?とふと疑問に思ったのだった.

右1/3に地図,左2/3に教会のしていることや電話番号.最初は同一に見えていた内容やレイアウトをよく観察してみると,違いが次々と明らかになってきた.
まず,大きい文字で書いてある教会のサービス?が,右のほうではひとつ加わって (「日本語礼拝」),4つになっている.左側は昭和を感じさせる手書き風のフォントなのに対して,右側のはヒラギノゴシックだろうか? 右側の地図には私も馴染みのある場所がいくつか見える一方,左側の地図には聞いたことのない場所が書き込まれている (「マンモス」ってなんだ…?).
これらを総合して,ふたつの広告は,貼り付けられた時期が違うのだろうという結論に達した.

そうして改めて地図をまじまじと観察したとき,「高瀬川」という文字を発見した.鴨川の隣にある,あの川.川底はコンクリートで固められ,あまたのゴミが浮かび,あるかなきかの流れがへばりついているような川! (散々な書きようだけど,私はそういう川が嫌いではない…!)

高瀬川と聞くと,四条のあたりの,柳が見下ろす街路と並走するあの川を思い浮かべる.それが下流の九条のほうではこんなふうになっていたのか…ちょっとした驚きだった.

おさる

突然「チンパンジーがネギ好きなんだ」と恋人からメッセージが来る.動物園で観察していた限りでは,タマネギは好きそうだったけど,ネギは食べているのを見たことがない.…ネギを食べさせちゃいけないペット動物もいたような…イヌだっけ.

そしてそんなことを言われたからか,昨夜の夢は,観察中の野生コドモオランウータンに抱きつかれた夢だった.家 (なぜか弟と二人暮らし) に帰ってみると,腕にもっと小さいオランウータンがくっついていて,母親の乳と間違って私の腕を吸っていた.はやく母親のもとに戻さなければ!と思うんだけど,外はもう暗闇で,吸われて痛いし,仕方ないから温めて殺菌して薄めた牛乳をスポイトで…と考えているうちに,どんどん衰弱していって,最後は小さくなったナメクジみたいになってしまった.