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よるのおわり

日々を愛でる

新宿秘宝館

ギャラリー新宿座の「新宿秘宝館」に行ってきた.

まず,ひと通り見渡しての印象は,「秘宝館らしさ」を忠実に表現しているなあ,ということだった.私は本物の秘宝館に行ったことはないけれど,伝聞のイメージとそっくりそのままな世界が広がっていた.中学生の妄想みたいな設定,大仰な固有名詞にあふれた突飛な解説 (英語版なんか特に!),汚れやキズの目立つ安っぽい人形たち,古ぼけた昭和のかおり… ※1

しかし,私の考えは間違っていたようだった.展示してあるものは,今回のため特別につくったものではなく,閉館した秘宝館から回収してきたものだという.都築響一さん,さすがだなあ,と思う反面,そこで軽い混乱が私をおそう.

私はこれを,「そのもの」を装った「らしさ」であると見ていた.しかし,実際はそうではなく「そのもの」そのものであった.たしかに考えてみれば,当時の雑誌記事の切り抜きの掲示とか,そういうものが,「そのもの」性を直接的に示している.なのだけれど,これらが巧妙につくられた「らしさ」であっても,私はそのことに反対しないだろうと思う.

会場においてあった『秘宝館』という本 ※2 のあとがき (だったかな?) の中で,都築響一さんが,秘宝館のことを「インスタレーションアート」と評していて (たしか),そのアイデアと私の視点は一致しているんじゃないかという気がする.秘宝館の何たるかを知らない若い世代の目には,「そのもの」であった秘宝館のコンテンツが,「らしさ」という空間芸術に映った,というわけで.

そして,ああいう空間では,人は饒舌になるんだなあ,ということも.木賃宿の歴史を残す,新宿の素敵な一画の,中に浮いているような不思議なギャラリーで ※3,面白いものを観ることができた.

http://instagr.am/p/UQF4_8tDkb/



※1 念のため断っておくと,いずれも褒め言葉です.

※2 2001年の横浜トリエンナーレに秘宝館を出展したという逸話が載っていて,そういえば,たしかに秘宝館の展示があって,入りたかったのだけれど,当時は年齢制限ぎりぎりで引っかかって入れなかった,ということを思い出した.…いやはや,あれから10年以上も経っての思わぬ再会とは.

※3 いちばんおもしろかったのは,玄関のサボテンが亀甲縛りになっていたこと (たぶん,意図してやられていたのだと,思いますけれど…).あまりに直截的な会場内のイメージより,こっちの遊び心のほうが,私の好みに合致していたみたいだった.