よるのおわり

日々を愛でる

月が真ん丸で煌々としていて、駅から出てきて森のなかを歩いているとき、街灯に照らされた影と、月に照らされた影と、両方とも私についてきているのがわかった。空気も比較的ぬるくて、月の光が暖かいような気になってしまう。

こんなところに場違いな印象を受ける、シックなダークスーツに身を包んでパールのネックレスをつけた女性ふたりが前を歩いている。よく見ると喪服のよう。途中の道を折れて、彼女たちは開けた草原のほうに歩いていった。ふとその先を見ると、柔らかな明かりに照らされて、ずいぶんたくさんの人が集まっている雰囲気がある。こんなところに斎場なんてなかったはずなんだけど…。不良の集まりとかではなくて、老若男女が等しく集まって、お祭りのような雰囲気すら漂っている。

通り過ぎて少し行った頃、向かいからやってきたワゴン車には、同じく喪服に身を固めた年配の人たちが乗っている。なんだろう…?

 

この話をしたら、狸にばかされたんじゃない?と言われた。ここでも野生の狸はたまに見かけるし、あながちあり得ないとも言えないかもしれない。