よるのおわり

日々を愛でる

昼寝の夢の夢

3連休の中日なのをいいことに、冷蔵庫の掃除も兼ねて変な朝ごはんを作ったら、意外に美味しかった。ささがきにしてアク抜きをしたごぼうを豚肉と炒めて、薄めためんつゆをどばっと加えた後に、さきほどあわててコンビニで買ってきた卵を溶いて加える。めんつゆのいい匂いを嗅いでいたら、麺が食べたくなってきてしまい、続けてそうめんを茹でる。冷水で洗って、ごま油、醤油、中華食材のお店で買ったものすごく辛い唐辛子のオイル漬けをあえる。深皿に盛った卵とじごぼうにはパクチーをちらし、味付けを濃いめにした卵とじと、薄めにしたそうめんを交互に食べる。

その後、急な眠気に襲われて、45分くらい昼寝をした。夢の中でも私は同じ場所で同じように昼寝をしようとしており、しかし、この家に弟が訪れることになっていて、実際にベランダから外に歩いていたのが見えたし、昼寝をしている場合ではない、起きなければ! と起きて家の中に迎え入れるものの、どうしても眠くてなかなか頭がすっきりしない、という現実にリンクしたような夢を見た。
その後、Rと出会う前にRとよく似た人がいて、思いを寄せていたが破局し、しかしその人の名前がどうしても思い出せないという夢と、階段状になってところどころぐらぐらする噴水を、服を濡らさないようにしてゆっくり降りる夢を見た。

国分寺

国分寺、初めておりる駅だとばかり思っていたら、駅前の道に記憶がある。そうか、数年前の学会のときに訪れたのだった。待ち合わせのカフェは、前に歩いた道のほうにあることがわかった。「ということは…」とすこし期待が高まる。

待ち合わせのカフェは、なんと定休日だった。すてきなお店で期待していただけに、ショック。友人と連絡を取りながら替わりの場所を検討しつつ、確かすぐそこにあったはず…と、大学のほうへ歩いていく。

あの店は何という名前だったっけ…?とWeb検索をして、そうそう、『田園の憂鬱』のラストを思い出させる名前だった!と思い出したと同時に、店の前についていた。いまのところの私が、関東でいちばんおいしいと思っているベーグル屋さん。

悩みに悩んで3つ購入して、数年前に訪ねてきて、とてもおいしくて、また来られて良かった旨を伝えて、ふたたび駅のほうに歩いていく。

 

新しい待ち合わせのカフェ(ゆったりとして素敵だった)で久々の友人と話をして、1時間半ほどして出てくる。

すこし時間をつぶすために、野川の源流を見にいくことになって、線路沿いに向けて歩いていく。空気に木々の冷たい匂いが混じる。しかし源流のほうはフェンスで囲われて、入れそうにない。この道を歩きながら、そういえばもっとずっと昔、ここを歩いたことを思い出した。GISの講習会を兼ねた巡検だった。そのときはしとしと雨が降っていたような気がするのだけれど、どうだったか。

西国分寺まで歩いていくことにして、途中にある姿見の池で我慢する。池の土地に足を踏み入れるなり、巡検のときにここにも来たな…と思い出す。

 

帰り、「接待費」とボールペンで書かれた紙がカバーになっている文庫を読んでいるサラリーマンと、新宿駅の線路の上を駆け抜ける大きなドブネズミを見た。

空港の夜

帰国してくるRを迎えに、夜の空港に出かけていった。お仕事をするために、少し早めに家を出る。休日の電車は空いていて、晩ごはんくらいの時刻に到着する。

空港の中をひと通り歩き回ってみて、ふむふむ、江戸風の区画に、いろいろな飲食店がある。しかし、場所はいいのにメニューがあまり魅力的でなかったり、ここならいいかなと思う食事なのに場所が悪かったり。ベストな場所がみつからないので、コンビニでサンドイッチを買って、ベンチで座って食べながら、仕事を進めることにする。多少、家でごはんは食べてきたのだ。

団体用のバス乗り場から入ってきたところに、人のあまりいないベンチ群があるのを見ていた。そちらに移動する。ハムと玉子のサンドイッチは、パンがボソボソして、マヨネーズがわざとらしかった。まあ、たまにはこういうこともあるさ。仕事はけっこう進んだし、よしとしよう。

 

1時間半くらい仕事を進めて、キリのいいところで、場所を変えることにする。デザートを食べに、見晴らしのいい和風カフェに。食事をするにはメニューが微妙だけれど、甘味を食べるにはちょうどいい場所と、目をつけておいたのだった。

抹茶とほうじ茶のアイスのパフェを頼んで、程よく薄暗い席に移動する。空港のカウンターを見おろしながら、しばしアイスを舐めて、休憩の後に仕事を再開した。旅に出る緊張感や、搭乗時間に追われずに、空港でふらふらと時間を過ごすのも、なかなか良いものなのだな。

 

Rは22時半くらいに出てきて、一緒に移動した。深夜の都心は、雨があがって冷たい空気になっており、飲み会帰りの人びとがすれ違う。

やっと夜遅くに布団に入ったにもかかわらず、その夜は、なんだか目が冴えてしまって、ふたりとも、よく眠れなかった。鬱々悶々としながら、朝が来るのをじりじりと待っていた。

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ピクニック

金曜日、ひさしぶりに晴れのマークが見えていたので、朝、家を出る前に洗濯をした。帰国した翌日の祝日の月曜の次の、はじめての晴れの日ではないかしらん。洗濯機は、前の持ち主も含めてかれこれ10年間使っており、ここ数年は洗いのときの回転が弱々しくなっていて、物をたくさん入れると、内側のほうはまったく水が浸透せずに乾いた色をしていたりする。なので、前日の夜から洗剤と洗濯物を入れて、漬け置き状態にしておいた。

そうそう、帰国してから、時差ぼけのために睡眠リズムがおかしくなっていて、夜なかなか眠れない。眠れないからお酒を飲みだしたりしてしまい、それで睡眠が浅くなって、余計に睡眠リズムが壊れて逆効果になったり、ということをこの1週間ずっと繰り返していた。

朝は朝で、金曜は、昨夜遅く寝たのに、4時半に目が覚めてしまった。やれやれ。まあ、この時間から洗濯をはじめれば早く仕事場にいけるなとポジティブに考えなおして、洗濯機を回しはじめる。片付けや整理をしていたら、あっという間に時間が経ってしまって、結局いつもと変わらない時間に家を出た。

 

さて、その金曜日、日中は完全に、秋晴れの金色の光が射していた。湿度が低く風はさわやかで、夕方近くになると、1年のうちこの時期だけに嗅げるすてきなにおいが混じった。この光を浴びて、風を嗅いでいると、唐突に、ピクニックに行きたくなった。仲間がいればいいけど、この天気があればひとりでもいける。サンドイッチでも作って、魔法瓶にコーヒーを入れて、スーパーですこしお酒とおやつを買って、どこかに繰り出すのだ。

場所はどこにしよう。人通りが少なくて、乾いていて、陰と日向のバランスがほどよいところ。見晴らしが良ければなおのことよろしい。

……その日は結局仕事がいろいろ詰まっていて、ピクニックには行けなかったのだった。しかしそもそも、ピクニックに行くのは平日ではなく休日が好ましいような気もする。問題は、この秋雨の時期に、からりと晴れた休日がやってくるのかということだ。

 

翌日の土曜、朝すこしだけ研究所に行ってお仕事をして、帰るとき、向こうの方に見えている小高い丘の上に芝生や木が生えていたのを思い出した。あの場所に行ってみたいなと前から思っていたし、見た感じ、ピクニックに最適な場所ではないだろうか。

晴れたらあそこに行こう。そう決めた。

雨上がり

電車をおりると、雨があがっていた。秋めいてきた空気に磨きがかかり、だいぶ肌寒くなっている。頭上を見あげると、まだまだ厚い雲が空を覆っている。しかし、遠くのほうの雲の切れるところでは、雲の切れ端がぽこりぽこりと浮かんでいて、その背景に黄金色の陽の光が見えていた。ふわふわの雲の層の上に、はちみつがたっぷりかかっていて、雲のはじっこからそのはちみつが垂れ落ちているような、そんな気がした。

道路はところどころ乾きはじめていて、場所によっては、濡れている部分のほうが小さく縮こまっているところもある。高架から滴り落ちる水を見あげながら、二人連れの母親がわいわい笑っていたり、急に遠くまで見渡せるようになった気がする景色が新鮮で、なんだかくつくつと楽しくなってきたり。朝は雨が降っていたんだな…と思いながら、家に帰ってきた。