よるのおわり

日々を愛でる

2018-01-01から1年間の記事一覧

空港の夜

帰国してくるRを迎えに、夜の空港に出かけていった。お仕事をするために、少し早めに家を出る。休日の電車は空いていて、晩ごはんくらいの時刻に到着する。 空港の中をひと通り歩き回ってみて、ふむふむ、江戸風の区画に、いろいろな飲食店がある。しかし、…

ピクニック

金曜日、ひさしぶりに晴れのマークが見えていたので、朝、家を出る前に洗濯をした。帰国した翌日の祝日の月曜の次の、はじめての晴れの日ではないかしらん。洗濯機は、前の持ち主も含めてかれこれ10年間使っており、ここ数年は洗いのときの回転が弱々しくな…

雨上がり

電車をおりると、雨があがっていた。秋めいてきた空気に磨きがかかり、だいぶ肌寒くなっている。頭上を見あげると、まだまだ厚い雲が空を覆っている。しかし、遠くのほうの雲の切れるところでは、雲の切れ端がぽこりぽこりと浮かんでいて、その背景に黄金色…

Jenaのお散歩

休みの時間に、Phyletic Museumを見学にでかける。系統樹がコンセプトの博物館とか、サイエンスとアートの融合とか聞いて期待していたのだけれど、展示内容はちょっと期待はずれ。教科書に書いてあるようなことを実物標本を用いて表現しようとしている意図は…

休暇

月曜なのでどこもすいている。 午前中は識名園に行き、ときおり雨がザーザー降ってきたりするなか、庭園を歩いた。池にぷかぷかとたくさんの藻が浮いており、見た目には不思議な雰囲気になっている。よく見ると、水底にも同じような藻が繁茂しており、これが…

イカの納品

カフェの2階でお仕事をしていると、向かいのビルの前に小さなトラックが停まる。荷台の上に、キャップをかぶった人がひとり上がる。荷台はのっぺりした長方形で、上面に丸い蓋がついている。様子を見ていると、どうやら魚を行きたまま運搬するトラックのよう…

家のよそよそしさ

今年の夏は出張や外での仕事がつづき、数週間腰を落ち着けて家にいるということがない。家にいる日数が短いと、時間をかけて消費する食材も買いづらいし、出張と出張のあいまの仮の日々みたいな気がして、家での生活をきちんと整える気力がなかなか湧いてこ…

異国の風邪

冬の3ヶ月間を過ごした北欧の国に、研究会と実験のためふたたび戻る。季節は夏。夜の20時過ぎまで明るくて、乾燥した涼しい気候。しかし、これまでの島の疲れや寒さも溜まっていたのか、着いて翌日、乾燥に喉をやられたのを発端にして、なし崩し的に風邪をひ…

プール

朝から涼しくて、部屋のなかにいてもあまり汗をかかない。自転車で出かけたときに理解する。いつもとは反対に、北風が吹いている。秋とまではいかないんだけど、秋の破片が飛んできたような1日。 約束していた場所に行くために、夕方、モノレールに乗って、…

揖保乃糸

昨夜、やけに眠くなってしまって、20時過ぎに眠った。そのせいか、朝は早く目がさめて、3時くらいにクーラーがタイマーで切れたのをうつらうつらと知り、窓を開けて外の涼しい風を入れていた。風が強くて、木々がざわめく音が聞こえた。覚醒に半分足を突っ込…

島の夏

今年は、こんな北の島なのに、ずっと暑くて、しかし毎年失ってしまう真夏の暑さをきちんと取り戻せたような気がして、愉快に先発の日々を過ごしていた。朝早く起きて原稿を書き進め、日中は働き、夕方からあとはメールを返したりして早く寝てしまう。お仕事…

熱帯夜

真夏のトーキョーは最高である、なんて思いながら眠った。 ちょうど目が覚めたのは、夢のなかで、大学の学園祭みたいなところで、ひとり舞台で演劇の大作をやることになっており、開演時刻をすぎても準備が間に合わず、しかしそもそも演技はまったくの素人の…

総合病院

9時から検診があり、長いコの字を通り、駅を越えて、丘の上の総合病院へ。駐輪場には南京錠で閉じられた道があり、丈の高い藪がもうもうと茂っていた。 長い歴史を経てきたことがひと目でわかる館内には、すでにたくさんの人びとが待っており、強烈な夏の光…

靴と素足

電車の隣に座った夫婦が、ふと床を見たあとに話をはじめ、床に置いていたリュックを取り上げる。何事かと思って私も床を見ると、水がどこからか流れてきている。慣性の法則にしたがって、電車の出発や停止にあわせて、あっちに行ったりこっちに来たり。 どこ…

アガラガラ

研究打ち合わせが終わったあとに、遺跡見学につれていっていただく。昼もだいぶ過ぎた遅い時間、お昼ご飯も食べずに、宿舎を通り越してどんどん山奥へ。どこかレストランにでも寄るのだろうか…と思っていたけれど、ランドクルーザーがごとんごとん揺れる本当…

奇跡いくつか

精神的にハードな3週間を終えて、なんとか目的を達成して無事に帰国し (まるで奇跡のように思える)、休暇なんだかライフイベントの準備なんだかよくわからない数日間を過ごしていた。ここに帰ってくると、本当に帰ってきた、という気がする。朝の道端で見た…

ハゲコウ

背の高いヤシの木の林冠をハゲコウがよたよたと歩いており、枝がゆさゆさと揺れている。2羽でけんかしたりしているのも見える。朝の静かな空気が広がっており、今日も騒がしくなりそうな気配に満ちている。

カラスの練習

朝、森の端っこで、カラスが2羽飛んでいた。一方は小さくて、なんだかおぼつかない飛び方をしていたので、コドモが飛び方の練習をしていたのかもしれない。日が昇ると、白い光の下で、湿度の低い浜風が吹いていた。こういう気候になると、なんだか秋になって…

夢、もりだくさん

暴風が吹き荒れるなか、人々とともに、だだっ広い校庭のようなところを駆けていた。岩石が飛んできたり、幹の周囲が4-5メートルはあろうかという大木が倒れてきたりした。それらを上手にかわして逃げながら、建物の中に駆け込んだ。 調査地のベッドに眠って…

窓の外の夜

夜中、眠いところをちょっと起きていて、なんやかやと作業をしていた。 寝室に行き、窓を少しだけ開けておくために厚いカーテンを持ち上げると、外にはガス状の雲にすかして、月が出ていた。あと数日で満月になる。こんなふうに、夜中にふと外を眺めるのが好…

どうでもよいけれど、どうでもよくはないこと

たまに、ほんとうにどうでもいいことを書きたくなってくる。こちらに背を向けて、猫がひなたぼっこしていたところを通りすぎると、その猫はビクッとこちらを振り向いて、そわそわ落ち着かなさそうにしていた。けれど立ち去ってしまうにはその場所が惜しいら…

極東の食べ物

庶民的な食堂などでは、カウンターの中にいろいろ、お皿や料理が並んでいて、これをください、と指し示して自分の好きなものを取っていく。野菜もけっこう豊富で、サラダもいろいろ種類があるのがうれしい。なんでもおいしかったのだけれど、特に気に入った…

極東

極東の大学でシンポジウムがあり、参加してきた。東京はもう初夏の雰囲気だけれど、こちらはまだ冬の気候で、晴れ渡っていても風が冷たく、気温も低い。夜は冷え込む。しかし最後の2日間はTシャツ一枚で過ごせそうな暑い陽気。どうなっているのだろう。とき…

リスの藪

朝、窓を開けると、電線の上をリスがつたっており、向かいの藪に消えていった。そういえばこの藪からは、布団を取り込もうとした夕方に、猫が出てきたのも見た。猫はこちらに気づかず気楽に歩いていて、私が布団挟みを外すと、その音で私に気づいて、こちら…

名前

半分風邪をひきながら見た夢のなかで、どうしても、Rの名前が思いだせない。名前だけでなく、顔かたちやたたずまいも、すっぽり記憶から抜け落ちている。なんとか思い出そうとしても、現れてくるのは昔の恋人のことばかり。すこしずつ、記憶の糸をたぐるよう…

海と犬

日曜の午後はきれいに晴れ渡って、海辺の道も気持ちが良い。端まで行くと、石ころだらけの浜辺におりられる。3歳くらいの子供をつれた男女がおり、男は小石を拾ってはひょいひょいと海に投げ、水切りをしていた。とてもうまい (5回以上跳ねている)。乾いた小…

春のはじまり

GWの前の金曜日,自転車に乗って帰ってくると,もう汗いっぱいになってしまって,部屋の中は西陽にあたためられてもわもわとしていた.夜は,はじめて厚手の毛布をやめて,薄手のブランケット毛布に切り替えた.翌朝,空は痛いくらいに晴れあがり,雲ひとつ…

ねこじゃらし

夜の道端に、何かがシャッシャッと通り過ぎたあとのような光の軌跡が見えて、近寄ってみると、青々としたねこじゃらしがたくさん生えていたのだった。シュッと丸まってつやつやとした穂のところに、街灯の光なんかが反射して、きらきら光っている。 ねこじゃ…

いつもの春

4月の終わり頃の週末に、毎年、中部地方の研究所で会議がある。昼ごろ、半袖になっても汗がにじみ出る陽気のなか、桜の終わった川辺を歩き、坂を登る。 研究所の宿舎は、だいぶ年季が入っていて、内装もきわめてシンプルだけれど、窓の外に広がる春の景色が…

墓場の烏

真夜中に帰宅途中のお墓のところ、せりだした崖の上に、ぽつぽつと何本も高い木が立っている。崖の端の2本から、烏の騒ぐ低い声が聞こえる。灰色の空にすかして見ると、真夜中ではあるけれど、何羽かは枝のあいだをぱさぱさ飛んでいる。夜のお墓に烏が鳴くと…