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よるのおわり

日々を愛でる

着陸

乗り換え先の空港に飛行機が着陸していくとき,その途中の夜中の街の灯を眺めるのが好きだ.

街灯がまばらに照らす道路に,ポツポツと走る自動車はどこに行くのだろうか?誰が乗っているのかな?深夜の家路を急ぐ車かもしれないし,早朝の職場に出向くところかもしれない.恋人から電話を受けて,家に急いでいるところかもしれない.

光の漏れる家もあれば,漏れない家もある.どんな調度品があって,誰が暮らしているのだろう.今は,ご飯でも食べているところかもしれない.工場か会社か,大きな建物は回りを白熱灯に照らされて,静まり返った様子を見せている.

空調の効いた飛行機のなかからはわからないけれど,熱帯の熱い風が吹いているかもしれないし,マイナス何十度の雪が歩道をかためているかもしれない.空港を出て,新鮮な空気をいっぱいに吸い込むところを思い浮かべる.

そうしてたくさんの人生を想像しながら,深夜の寝静まった空港に降り立ち,妙に静かなイミグレを抜けて,夜が更けていったり朝がやってくるのをぼんやり見つめながら,次の飛行機を待つ.ここにはまた別の,私の人生がある.