よるのおわり

日々を愛でる

廃墟

窓の外に広がる光景を、わたしはけっこう気に入っているのだけれど、Rは、廃墟みたいね、と言う。まあわからないでもない。建設中の建物が焼け焦げた巨大生物の骨格のように見える工事現場と、その奥に広がる原野。今日は土曜で工事現場には人もおらず、窓の外では風の音が始終するどく響いていた。

 

体調の芳しくないRは早々に布団に入り、さきほど夕ごはんを吐いてしまった猫はおとなしくクッションの上に丸まっている。今日は寒々とした曇り空の1日で、窓の外の眼下には、「廃墟」とクリスマスのネオンが風に揺れている。

 

ひとりだ、と感じる。これはさみしさとかそういうものとはまったく別な感情なのだけれど、そう言うほかに何と言っていいのかわからない。

…白い街路灯に照らされた工事現場は、たしかに廃墟のようにも見える。