よるのおわり

日々を愛でる

カラスの黒い袋

大きな決断のあとには神経を使うあれやこれやが続き、あわせて2週間はほとんどほかの仕事が手につかなかった。でも、その先にはもうひとつ大きな山が控えており、これがどう転ぶかで今後のこともけっこう変わってくる。そして締切までそんなに時間はない。いつになったら息をつけるのだろう。8月かな……。

というわけで、物事がある程度落ち着いたあと、集中するために外に出た。午前中のまだ空いているカフェの窓から外を眺めると、ゲートボールをしている人たちの停めた自転車のかごにカラスがいたずらをしているのが見えた。黒い袋をくちばしで開けて、中身を出そうとしている。ゲートボールをしている人たちは誰も気づいていない。顛末がどうなるか確認するまでは仕事を始められないぞ……と思いながら見ていると、袋の中にはめぼしいものがなかったのか、カラスは飛び去っていった。
のちほど、ゲートボールを終えた人びとは訝しげに自転車のかごの周辺を何やら見回っていた。鍵でも盗まれたのだろうか……。