よるのおわり

日々を愛でる

成人式の思い出

大学3年生のときに成人式があった。たしか葉書などで開催通知が来ていて、新成人有志とか実行委員会とか、威勢のいい言葉が並んでいた。しかし、昔から、大勢で集まって形式的な何かをするということに忌避感を抱いていて (大学院生時代は研究室の秘書さんに「式典嫌い」と評されていた)、成人式に行くという選択肢はなかった。スーツとか着ていくのも面倒だし。自分と同じ新成人のみなさんに混じって所在なさげにうろうろしているのはなんとも間が抜けているし。

というわけで、その祝日は大学の研究室に行った。当時はまだ卒研前だったけれど、実験補助のバイトでとある研究室に雇われていて、進め方にはけっこう裁量があったのでその日も作業を進めることにしたのだった。大学に行って実験をしていると、同じ研究室で雇われている同じクラスの同級生もやってきた。はて、彼女も今年二十歳だから成人式だったはず。休憩時間にちょっと話をして、「成人式なんて本当にバカらしいよね」というようなことで静かに合意し、同じような価値観を持っている仲間がいたことをうれしく思った。

もう10年以上時間が経ち、実験補助のバイトのことはもうほとんど忘れているけれど、成人式の日のこの思い出だけ今でも印象に残っている。彼女とは息の長い親友となり、お互いに子供が生まれた現在も数年に1度会ってはおしゃべりに興じている。月日が経つのはなんと早いものか……