よるのおわり

日々を愛でる

夏の地下鉄

夏の地下鉄が好きかもしれない。丸ノ内線のような華やかなところでは、いかにも夏だ、という感じのうきうきする感じがある。

でも、さびれた感じの、ホームにしたたる水に鉄の匂いがしそうな線にも、また別の良さがある。ざらざらした白色の蛍光灯が車内の光景をくすんだものにし、窓の外には暗闇があり、うるさいわりに聞こえているのは意味のない音。まばらに座った乗客は疲お互いに無関心で、夜間には車内の空気がどろりとして酸素が薄くなるような気までする。

そういう殺伐とした地下鉄に乗っていると、自分が周りの風景に溶けてしまったような、乾いた落ち着きを感じるのだった。