よるのおわり

日々を愛でる

ブルーライトカット

最近、ブルーライトカットの度なしメガネをかけて仕事をしている。うちの家系はとても目が良く、両親は最近老眼になってきたものの、きょうだいたちを含め近眼でメガネをかけている人はいない。たぶん。というわけで、サングラスや実験用保護メガネを抜きにすると、これが私にとって初めてのメガネである。

メガネをかけてPCの画面をのぞきこんでいると、不思議な気分になる。ブルーライトカットでちょっと黄色っぽい色がつくのも関係しているかもしれない。中学生の頃読んだ村上春樹の小説に出てきた「夢読み」にでもなった気分。もっとも、「夢読み」は逆に仕事のときにはメガネを外していたような気がするけれど。中学生のときには村上春樹が大好きだったけれど (記憶にある限り、初めて自分で選んで読んだ小説だったように思う)、高校生や大学生になると、世の中にはもっと自分にフィットするおもしろい小説が本当に本当にたくさんあることを知って、いつのまにかまったく読まなくなっていたのだった。

それにしても、最初にどうやって村上春樹にたどりついたのだろう。独特の匂いのする空調の効いた無機質なブックオフの店内で、わくわくしながら、100円の棚から彼の小説を選んでいたことをすこしだけ覚えている。思春期のロマンチストな少年が想像する「大人の世界」が、村上春樹の小説のなかにはあったのだと思う。