よるのおわり

日々を愛でる

はじめての橋越え

ちょっと遠出をしたいねということで、よく晴れた日曜、電車に乗って海を越えて、スウェーデンのマルメーにやってきた。いつもの電車に乗って空港を過ぎて、地下から外に出ると海の上を走っていた。前回の滞在でこの橋は渡っていないので、なんだか新鮮。人口の島の護岸には黒い鳥がものすごい数とまっていて、行けども行けども鳥が尽きることはなかった。まるで黒いペンキみたい。洋上には風車が回っていたりして、みんなでわーわー楽しんでしまった。
じきに対岸のスウェーデンが見え、20分くらい乗っているとマルメーに着いた。あっけないくらい簡単に隣国に着いてしまったけれど、いつもとは違うところにいるという旅行感に満ちている。島国の日本だとこうはいかない。駅のコンコースはこちらと違って天井が高くどーんとしていておもしろい。

外に出て、まずは駅の近くにあるおいしいと噂のパン屋さんへ。陽の当たる店内はぽかぽかと暖かく、雰囲気はかわいらしい。季節が終わってしまったのでもうないかと思っていたセムラをみつけて、せっかくなのでここで食べていくことにする。カプチーノもひとつ頼み、Lの希望でシナモンロールも。挟まれているクリームは甘くないのだけれど、その下のカルダモンペーストが甘い。バランスがよくて最後まで飽きなかったけれど、わりとお腹に溜まった。
パン屋さんを出て、次は街を歩いて抜けてお城まで。こちらと比べると、街の作りが広くて大きく、そういえば前に行ったウプサラもこんなだったなあと思い出す。すぐ近くなのに国が違うと雰囲気がそれなりに違うのが面白い。まだ寒いけれど、ぽかぽかして風も弱くて、春だなあという感じがする。

お城には博物館が入っている。地下には小さな水族館もあり、これまた小さな温室?では、カラフルな鳥が一羽、お客さんたちを驚かすのを楽しんでいるかのように低空飛行を繰り返していた。温室の雰囲気は好きだけれど、狭いところで仲間もおらず、これは退屈してしまうだろうなと同情する。カエル、タコ、チンアナゴ、足のあるトゲトゲしたかわいい魚などをLを抱っこして見せつつ、水族館を通り抜けていく。
上の階は博物館になっていて、こちらはまあ普通。その先には美術館があって、「家庭 (hjem)」をテーマにした特別展をしており、どうしようもない閉塞感、グロテスクさ、悲しみみたいなものが、表面的にはポップな展示から感じられて面白かった。家族の閉塞感はどこの国でも同じなのだろうか…。
その先には歴史博物館と、もうひとつの特別展と、お城の史跡の展示もあったけれど、Lの機嫌が悪くなってきたので早々に退散。お昼の時間帯でもあるし、まあ仕方ない。

ふたたび街を抜けて、いろいろなお店の入った市場のようなところへ。これもおいしいと噂のファラフェルを食べ、座ったテーブルの向かいのアイス屋さんでジェラートを頼み、満足。ジェラート屋さんにはInstagramのフォロワー数を表示するIOT電子表示版みたいなものがあって、試しに…と実際にフォローしてみると、その表示版がパタパタ…と動いてフォロワー数がひとつ増えた。パタパタ動いているところはそういう映像を流しているのかと思いきや、近くに行ってよく見ると実際に板がパタパタ動いており、妙なところで感心する。
同じ市場に入っていた、さきほどのパン屋さんの支店で持ち帰り用のパンを購入し、市場を出た。ちなみに、本当にどれもおいしくて感動的だった。シナモンロール、カルダモンロール、バゲット、三角形のココナッツ焼き菓子、それともう一種類。もういちど食べたいくらい。

日が陰りはじめて少し寒くなってきた街を抜けて、隣の駅まで歩いていった。その途中にLはベビーカーで眠り、おかげで、道中の雑貨屋さんやスーパーを落ち着いて見られた。駅のコンコースは地下なのにどこからか風が通り抜けていて寒い。目的の電車は遅れたものの無事に来て、帰りはあっという間に、お家の最寄り駅まで着いたのだった。

f:id:tsutatsutatsuta:20220328023315j:plain
f:id:tsutatsutatsuta:20220328023337j:plain
f:id:tsutatsutatsuta:20220328023436j:plain
f:id:tsutatsutatsuta:20220328023732j:plain