よるのおわり

日々を愛でる

あなたはどんな人ですか?

シューカツをしていたとき、とある有名企業の二次面接で、「あなたはどんな人だと周りから思われていますか?」という質問を受けた。この企業の一次面接は通ると思っていなくて、意外といけるのかもと思った二次面接にてこんな質問があった。本当にまったく正直な答えとして「わかりません。わからないやつだと思われているかもしれません」と答えた。まわりの人間のキャラクターについて決めつけたような話をするのは好きではないし、たとえ聞いたことがあったとしてもそれが自分のすべてということにはならない。他人の感想はあくまで他人の感想だ。
「わかりません」と答えたあと、面接官はなにやら怪訝そうな顔をして、その面接には落ちた。今でも、この面接に落ちたのはたぶんこの質問のためだったのではないかと思っている。

そんなわけで、他人が自分をどう思っているか、ということは私の人生のなかでなにやらしこりを残す不穏なテーゼとなった。

さて、そこから10年以上の時が流れ、Rとおしゃべりをしているときに、Rが大学時代に所属していたゼミの話になった。このゼミには「入ゼミ面接」がある。そこで先生がいつも「あなたはどんな人ですか?」ということを聞くのだそうだ。R曰く、先生が言うに、この質問に対して「他人からの評価」を答える学生におもしろい学生はいないとのこと(とはいえ他人をおもしろいかどうかと評することもなんだか好きではないけれど)。評価の軸が他人にある人間は自分の人生を生きることはできない。(と先生がそういったかはわからないけれど)
このやりとりを通して、10年来のしこりが優しく氷解していったのだった。