よるのおわり

日々を愛でる

夏の違い

夏ってこんなものだっけ、と最近ふとしたときに思う。熱い空気に力はあるけれど、体の周りを流れてすぐにどこかへ行ってしまうような感じ。風が吹いたりするともうそれだけで涼しい。
それはたぶん、トーキョーの夏が数年ぶりだということに関係しているのかもしれない。南の島では、空気がもっと湿っていて、じっとそこに漂っているような暑さがあった。太陽の力はもっと強く、風が吹いても暑くて、これこそ夏だという体感温度にやさしく包まれていた。
あとは、在宅勤務が増えて、熱い盛りの日中に外をふらつくことが増えたからかもしれない。(でもそれは南の島でも同じだったか……)Lが産まれて、夜の終わりから朝の始まりの時間が失われて、しかし日中は冷房の効いたオフィスにずっと閉じこもっているでもなくなった。数年前と比べて、トーキョーの夏の感じ方は確実に変化した。

そういえば、春の風に木々が揺れているのを目にすることもなく、夏の太陽に背中を刺されるような暑さを焼きつけられることもなく、年中同じ明るさで同じ温度のオフィスに閉じこめられている状況に嫌気がさしたことも、会社を辞めた理由の1割くらいを形成していたな、ということをふと思い出した。