よるのおわり

日々を愛でる

偶然に生じる穏やかな時間

偶然に生じる(偶然というところが大事である)ゆったりした穏やかな時間というものがある。非常勤講師が今年はオンラインに移行したのだけれど、標本を見ながら授業をする回だけ対面とし、今年初めて(最初で最後)そちらのキャンパスに出向いた。前後の都合で数時間前に着き、開始時刻まで講師の控室でお仕事をしていた。窓の外に見える学校の校庭では昼休みにたくさんの子供たちが遊んでおり、対面の授業が少ないせいか、控室は例年よりずっと閑散としていた。授業時間には、広い部屋に数人の講師が離れて座り、受付の職員が静かな声で世間話をしていた。初夏の日差しがすこし差し込み、魔法瓶に持ってきたアイスコーヒーを飲んだ。そこには、ゆったりした穏やかな時間が偶然に生じていた。

COVID-19以降、あるいはもしかしたらLが産まれて以降、こうした偶然に生じる穏やかな時間というものになかなか巡り会わなかったように思う。待合室とか、散歩の途中で休憩しているときとか、そういうところで生じる確率が高いように思うのだけれど、そうした場所に居合わせる機会自体が減っているのかもしれない。