よるのおわり

日々を愛でる

ユラン南西部紀行3日目

朝起きて、パンを温めたりスープを作ったりして食べる。キッキンが自由に使えるのがうれしい。今日も快晴の雰囲気で、車に乗って出かける。しばらくとばしてだいぶ南に来て、住宅地を抜けたところに目指す建物が現れる。
ワッデン海の自然や文化を紹介するビジターセンターで、子供も楽しめるインタラクティブな展示で楽しい。建物は茅葺き風の屋根にスタイリッシュな形状で、建築センターで紹介している動画を目にした。そういえば南西部では茅葺きの古そうな家屋もよく目にした。湿地帯に生える植物を昔から使っているのかも。展示を本気で見ていると1日過ごせてしまいそうなので、そこそこにしてカフェに。昨日のカフェと同じ機械だからやめておいたほうが…と言ったのにRはコーヒーを頼み、その味はこの国で飲んだなかで下から2番目にひどいものだった。軽く持ってきたお昼的なものを食べ、アザラシの人形がほしいとぐずるLに再考を促し、外でしばらく遊んだあと、車に乗って建物をあとにした。(結局、再考したLは、やっぱり欲しい、大事にする、と落ち着いて考えたようで、それならと購入する。こういうときにどうすればいいのか、いつも悩んでしまう)


まだけっこう時間があり、さらに南下して島に行くことに。途中、長い橋を通り、ひらけた視界の向こうに延々と干潟が広がっているのが見える。展望場もあり、車を停めて外に出ると強い風。海までおりて、なるほどと思いながらすぐ車に戻る。
数キロの橋が終わると島で、すぐに海岸近くに来る。手前にショッピングモールのようなものがあり、駐車場があるかわからなかったので車を停めようと進入すると、満車で、しかも中にいる車も時間をかけないと出られないような混雑ぶりで、十数分を無駄にしてしまう。

 

そこを出て海岸に行くと、白い砂が数キロ広がっただだっ広い場所が広がっており、車を停める場所は無限にあった。砂丘の裾野に停め、はるか遠くに見える波打ち際まで歩き出す。風が強くて冷たく、なかなかつらい。波打ち際まで来ると静かな小さい波が打ち寄せており、しかし風は強くてまったくシャボン玉どころではない。Lは少し石を拾い、「もうダメ…」となったので引き返すことに。途中、おいしそうな匂いの漂うホットドッグ屋さんが車を出しており、迷ったけれど、現金だけのようだったので通り過ぎる。あとで評価を見るとべらぼうに高く、あんなところで食べたらなんでも美味しく思えるよな…とすこし悔しくなる。車に戻り、背後の砂丘に少し登り、車内でおやつにする。


まだ時間があり、美しいと聞いていたRibeの街へ。街外れの公共駐車場に停めて、教会を見て、カフェでこんどこその美味しいラテを飲み、街を歩く。こじんまりとした街中に水路が流れ、建物は美しく、ああなるほど良い街だ…と納得する。たくさん人が並んでいたアイス屋さんに入ってアイスを食べ、車に戻るともう2時間くらい経っている。街からすぐのスーパーに寄ってちょっとしたごはんの買い物。イースター休暇だけど開いていて良かった。


そこから、夕陽というにはまだ明るすぎる夕陽に照らされながら、のどかで本当にすてきな農村地帯を走り、本日の宿へ。近くのガソリンスタンドで給油し、奥まったところにあるすてきなお家へ。ここではそれまでと違ってオーナーの老夫婦に出迎えられ、いろいろおしゃべりをする。なんでも昔、日本人のボランティアの方が1年間滞在され、来週からはその人に再会しに日本に初めて旅行されるそうで、偶然の縁に驚いた。暖かく歓待していただき、自作というすてきな内装にも驚きながら、シャワーを浴びたり夕飯を作ったり。お子さんが3人独立され、奥さんは保育士さんをされていたそうで、部屋のある2階には子供の本やおもちゃもたくさん。Lはそれで遊んで幸せな時を過ごしたようだった。
明け方、小雨が降り、天窓に当たる雨粒の音を夢うつつに感じた。早朝まだ暗いときにはクロウタドリがたくさん鳴いていた。人口2千人ということ静かですてきな町で1年間を暮らすというのはどんなことだったろうかと、会ったこともない他人の人生に思いを馳せた。

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