よるのおわり

日々を愛でる

風邪、そして帰国

翌日、朝から会議があったので、暗いうちに起きて、ほかの人の迷惑にならないように屋上へ。ここで仕事をするのは越してきたとき以来だなと思う。だいぶ着込んだけれど冷えてしまったようで、会議が終わって部屋に帰ると節々が冷たかった。このときからなんとなく嫌な予感がしていたものの、朝食後にまた日本時間の会議。それが終わると熱っぽく、全身がだるく、もう起きていられない。これは風邪だ…と判断して、職場に連絡して今日の予定をすべてキャンセルさせてもらう。久々でみんな楽しみにしていただろうに申し訳ない…。Rに保育園やいろいろを託し、倒れるように布団で寝込み、なんとか回復に望みを託す。
何度か起きたもののまったく食欲はなく、水だけ飲んでいると、夕方前には体調がものすごく悪化。息が苦しく頭が朦朧として、とにかく辛い。とはいえこれは低血糖と脱水症状ではと冷静に判断し、Rに連絡してジュースを買って早く帰ってきてもらうことに。帰りを待っているこのときほど心細かったことはなく、また帰ってきたRをこのときほどありがたく思ったことはなかった。オレンジジュースを横になりながらちゅーちゅー飲んでいると、糖分と水分が脳にしみわたるようで、目に見えて楽になってくる。この日は餃子パーティーの予定だったけれどとてもそんな体調ではなく、リンゴを食べジュースをたくさん飲んでまた夕方から倒れるように眠った。
不安な夜を過ごしつつ、翌朝、まだ回復していないと判断。この日の大事な予定もキャンセル。何のために帰ってきたのだか。。そして、熟考と各所への相談と自分の体調と向き合った結果、帰国日を1日延期することに。フライトをなんとかして、ひとまず安心してこの日もひたすら眠りに眠った。けれど昨日に比べるとだいぶ回復してきており、ずっと寝ているのが辛くもあった。けれど後がきつくなるので、自分を強いて布団に横になる。夕方には、炊き込みご飯を作ってたっぷり食べ、昨夜の餃子を食べられるくらいに回復。でも翌日帰国はまだ無理という感じ。ぎりぎりの選択。
翌日はだいぶ元気になったものの、まだ横になっていたい気分。午後くらいからは、振る舞うために買ってしまった食材を角煮にしたりしつつ、様子を見ながらなんとなく体を動かす。腰が痛いけれどなんとかなるといい。夜はRにラッサムを作ってもらってたっぷり食べ、人びとが出かけていたのでゆったりと過ごした。
翌日、再設定した帰国日。頭はまだふらふらするものの、これならなんとかなりそう。朝早くに大学まで出かけ、受け入れ研究者とやっと会える。しばし議論して、設定していた時刻を過ぎて、机周りを撤収して慌てて帰宅。散々だったけれど会えてよかった。

家から空港に移動して、保安検査所の目の前までついてきてくれたRと別れ、思わず涙が出てしまった。Lをぎゅっと抱きしめて上を向き、先に進む。知人から譲り受けたJetKidsと、横ひとつ空いていた席と、だいたいは夜間にあたる絶妙な時間帯と、ずっと成長したLのがんばりで、想像していたよりずっと楽に帰国できた。そして乗り継ぎの空港で研究仲間と偶然出会ったのがこの旅のハイライト。
日本は雨が降って涼しく、バスに乗る前にアイスクリームを食べたらLが凍えてしまった。家の中はとにかく寒く、デンマークの快適な室内を懐かしく思い出した。面談に訪れた保育園ではみんながLを歓待してくれて、Lも楽しそう。それはなによりの安心だった。

こうして、新しい生活が幕を開けたのだった。