よるのおわり

日々を愛でる

からっぽな日々に色をつけること

先日ひさしぶりに友人に会い、自分の口から出てくる話題が過去のことや愚痴ばかりで、自分で自分が嫌になってしまった。毎日が自転車操業みたいになっていて、生き生きと語れるようなことをしていない。子育て中はこんなものかなとも思うけれど、なんとかしたいような気がする。

職場に行くとどうしてもいろいろすべきことが気になり、あっちに行ったりこっちに行ったりで執筆に集中できない。執筆も職場の整備も実験作業もすべてが自分の想定からだいぶ後方に離されており、何を優先して多少ましな状況にするか、という選択を続けていくような毎日。そのなかでも今回の執筆はもっとも優先度が高く、時間が空けばとにかくこれを進めている。あまり予定も入っておらず執筆に集中できると思っていた1月は、いざ来てみると予定がぼこぼこと入っており、目論見はみごとに外れてしまった。

そんな状況で、週に一度は遠出をしないといけないお仕事。うだうだ言っていても仕方ないので、ちょうど良い機会、とお昼はさまざまな選択の中から選んで外で食べ、仕事をこなしている。
そんなある日、たくさん下調べをして悩んで選んだお店でお昼を食べたあと(そのわりにはそこまで感動せず。おいしかったけどさ。)にすこし時間が余ったので、はじめて入る博物館へ。小さなひと部屋の展示で、あまり期待せずに入ってみると、展示されていたエッチングやスケッチの作品が好みのど真ん中にヒットしており、ひとつひとつをゆっくり見ていった。陰鬱な景色を細部まで見てしまう目で、自分自身のこともおもしろく眺めながら、世界を小さな画面に写しとっていくような。均質な線で空間を埋めて輪郭やテクスチャーを作り出していく思想みたいなものが興味深くて、もっともっと原画を観察していたかった。
会期も短くこじんまりとしたこの展示に偶然出会い、少しだけ心が軽くなったような気がした。

www.art-c.keio.ac.jp