よるのおわり

日々を愛でる

森の保育園

通っている保育園は敷地が狭いためか、6週間のうち2週間は郊外の園にバス移動して過ごすという。今週がその始まり。先週の金曜にそのことを言われ、しかしまだLはお昼寝の時間以降まで保育園に預けられていなかったこともあって、すこし心配。
結局、月曜は初日ということもあったし、郊外の園がどのようなところか見てみたかったこともあって、わたしもバスに乗ってついていくことにした。

Googleマップでバスの現在地を確認しながら向かう。混雑回避のためか幹線道路を大回りしており、昨日歩いた道の近くを走っている。バスのなかは暖かくていい気持ち。
森の中に丸太小屋が建っているような感じかと思いきや、現地に着くと住宅街だった。そのうちの一軒が園の施設になっていて、家の中の部屋や庭に遊び場が作られている。庭は家の周りをぐるりと取り囲んでおり、子供たちが走り回れるようになっている。りんごがたくさん落ちていて、さらに先生が新鮮なのをはたき落として、それを子供たちが食べたりしていた。

いつもしているように、わたしはLのもとを離れて、見えない部屋に退避してお仕事を始める。園では応接室を使わせてもらっていたけれど、ここでは3階の屋根裏部屋。普通のおうちなので、ソファーや机があって、曇り空の光が柔らかく、静かで居心地がいい。足が冷たいのだけ困る。キッチンで料理を作っている先生が、お茶とかなんでも飲んでいいよと言ってくれて、ありがたくお茶をもらって飲む。家から持ってきた魔法瓶が役立つ。
お昼になると、その先生は私の分のお昼まで持ってきてくれる。お弁当を持っているから大丈夫だよと言ってあったのだけれど。でもせっかくなのでありがたくいただくことにする。オープンサンドできわめてデンマーク的。そこそこおいしい。騒がしかった2階も、お昼の時間になると静かになるのがおもしろい。おいしいものを食べているあいだは大人も子供も口数が少なくなるのだな。そのあと、14時くらいに今度はおやつを持ってきてくれる。お腹はいっぱいでさっきのお昼も余っているけれど、残すのはしのびない。持ち帰れない果物なんかはその場で食べてしまい、パンなどは、持ってきたお昼を食べた後の弁当箱のスペースに詰め込んで持ち帰る。

もちろん設備は不十分だけど、こういうところで仕事をするのは楽しい。非日常感があって、電車の中で仕事をするのと似た雰囲気。普段とは違う種類のお仕事を進めやすくなる気がする。

帰りのバス、初めてのところで緊張したのか、Lはいつのまにか眠っていた。言葉の通じないところでよくがんばっていると思う。

 

……そんなこんなで初めの週が終わり、翌週の最初の日。保育園に連れていくとLはとてもナーバスになっており、泣きやまない。今日はリモートでもできる仕事だなと確認して、この日も結局郊外について行った。すぐに屋根裏に引っ込んでお仕事をし、先生の運んできてくれるお昼や軽食を食べたりしながら仕事を進めていた。初めはやれやれという気分だったけれど、やはりこの非日常の落ち着いた感じが好きだ。

この日、あれほどナーバスだったLは、私がついてきたことも忘れていたようで、帰りのバスの席に座ったLのところに「やあ」と歩いて行ったら、そういえばいたね!みたいな顔をされた。なによりのことである。

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