よるのおわり

日々を愛でる

違い

友人を訪ねてバルト三国のあたりに行ってきた。そこで思ったことをいくつか。
まず、人の雰囲気が違う。コミュニケーションをとると優しい人たちばかりなのだけれど、歴史的な背景もあってか、初見ではロシア的なぶっきらぼうさを感じることがよくあった。そして、こちらに帰ってきて気づいたのが、困っている人を助けてくれる人が、こちらのほうが多いかもしれないということだった。たとえばベビーカーの車輪が電車のドアに引っかかった、ということがあると、こちらでは、近くにいる人が寄ってきてサッと車輪を持ち上げてくれたりする。彼の国ではあまりそういう雰囲気がなく、自分でなんとかする空気を感じた(とはいえ、それでも日本の都市部よりはずっとサポーティブであることは間違いないのだけれど)。まあ、こちらでもそういったことが実際に起こるかどうかというのは確率の世界の話ではあるのだけれど、そういったシチュエーションで、誰かが助けに来てくれそうということに身構える自分を見出すことが、こちらに帰ってきてからの方が顕著だったということに気がついた。
次に、彼の国の方が食材の多様性が高いように思った。こちらの人は食に対して保守的であるという記事を前に見たことがあるのだけれど、ああこういうことなのか…となんとなくわかったような気がする。とはいえ、ひとつのスーパーを見ただけだったので本当のところはわからない。単純に品数で見るとあまり変わらないような気もして、微妙に異なる分布の、彼の国のユニークなところだけを見ていたのかもしれなかった。
そして、寒かった。空港を降り立つと雪景色で、内陸の街は道路がガビガビに凍っていた。滑らないようにそろそろと歩いたため、こちらに戻ってきてから、東京に比べると寒いにもかかわらず、だいぶ暖かい…と思ってしまった。そして道をそろそろ注意して歩かないでいいことに不思議な気分を感じたのだった。

 

長く滞在して、その国の言葉を使えるようになって、コミュニティの中に入り込まないと、本当のところはわからないと思うし、異なる文化に対するステレオタイプを自己強化していくのもよくないと思うのだけれど、雰囲気で感じた違いということで書いてみた次第。