よるのおわり

日々を愛でる

地下迷宮のタマゴ

入居している建物で、イースターエッグハントのイベントがあった。建物の敷地や周辺のどこかに5つのタマゴが隠され、見つけたらお菓子の詰め合わせをもらえる。うちひとつは金の卵で、博物館の入場チケットもついてくるという。15時から開始とのことで、Lを早めに迎えに行って、建物をうろつく。開始前からすでに子供や親がうろうろしており、みんな若干の気まずさを含む挨拶を交わして、相変わらずうろうろを続ける。
まずはこの建物の目玉の屋上に行き、ひと通り探す。何人もすれ違い、たとえここにあったとしても自分たちがいちばんにみつけられる可能性は低そうだと思う。その次には地下に行ってみる。共用部分だけどもっとも人がいなさそうと思っていたらその通りで、誰ともすれ違わない。しかし、埃っぽくて、タマゴを置けそうな場所も見当たらず、みつからないままに後にする。その後、中庭と周囲を歩いたもののみつからず。
Lに、屋上と地下とどっち探す?と聞くと、地下、との答え。地下にはなさそうだったけどなあと思いつつ、外は寒いし地下にまた降りる。Lに左右どちらに行きたいか聞くと右とのことで、そっちのほうに行くと、さっきは歩かなかった場所のような気がする。全部つながっているわけではないのだろうか。よくわからない。物置きのあいだを縫って、行き止まりになる通路が入り組んでおり、さながらゲド戦記の地下迷宮。金網張りの物置に各戸が保管しているモノや置き方を眺めていくのも楽しい。そんなところである通路を曲がると、壁に何やらタマゴ型の紙が貼ってあり、これがタマゴだったのかとわかる。まわりに人がいないことを確認するために見渡したりして、Lを呼び寄せ、剥がしてもらって袋に入れて家に持ち帰る。
その後、余裕の態度で辺りを歩き回り、中庭で遊びたがったLを遊ばせつつ、タマゴを探すみんなに心のなかで声援を送ったりした。私服だけれど、いかにも建物の管理会社のような職員のような人が鍵をじゃらじゃらさせながら歩いているのを見て、この人が現在進行形でいろいろなところに隠していたのだなということを直感的に感じる。
いくつ残っているのかわからないので、まだみつかっていない人たちにとってはやめどきのわからない残酷な遊びだなと思いつつ、家に帰った。1時間半後くらいまで探している人たちがいた。